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26 体育祭 side 翔
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「桂木君は、クラス別にだけ出るんやんな?
予選は応援するな!
でも、決勝で当たったら俺のクラスは負けへんで?」
こちらの気持ちを試すような、挑発を含んだ意地悪い上目遣い。
そこには、自分のクラスが負けるわけないという自信が滲んでいた。
三枝先輩は、自分のことなら絶対にこんな顔を見せない。
レアな表情を間近で見てしまい、うぐっと息が喉元で詰まり変な音が出そうになった。
もぅ、意地悪な三枝先輩とか可愛すぎなんですよ!
クラス別リレーは、学年毎に抽選でまずは2レース。
そこで一位になったクラス、全学年で6クラスの代表が最後に教師チームを追加して決勝戦へ進む。
優勝すれば、10点。
順位が下がる毎に、マイナス一点。
教師チームには点数が入らない分、α性は二名までという制限はない。
例えα性だけで揃えても、日ごろの運動不足を差し引くので結構良い勝負になるらしい。
「俺のクラスも、結構速いですよ」
「そうやねんてなぁ。
さっき、海ちゃんがな。
β枠は運動部で固めてるって教えてくれたわ」
「あぁ、さっき待ってるときに話してたのはそれだったんですか」
「うん。
空ちゃんとこは、昨日の試合であんま勝てへんかったしな。
ここで、巻き返したいって言ってた。
俺のクラス、昨日は全戦全勝で勢いに乗ってるし、このままぶっちぎりで学園祭に持ち越すで!」
ブイサイン付きの明るい笑顔に、心臓がギュッと絞られる。
さっきはなんとか耐えたけど、今回は顔にも動揺が出てしまったらしい。
三枝先輩は、困った顔で視線を泳がせながらブイサインを崩した手をおずおずと下ろした。
「か、桂木君・・・」
「す、すみません・・・」
二人して落ち着かず、言葉を探して互いの顔を見ては俯くを繰り返してしまう。
あのときと同じ顔をまたさせてしまってる。
もう一度断られたとき。
俺、今みたいに三枝先輩のことを困らせてしまいましたよね。
友達からと言われて、納得したふりをして。
好きな人が出来たと言われて、そうですかと飲み込んだふりをして。
別れ際、改札口に吸い込まれていく背中を今俺の手で止めないと、このまま俺は切り捨てられて三枝先輩の対象から完全に外れてしまうと実感して怖くなった。
咄嗟に掴んだ手を振り払わず、引き寄せられるまま俺の胸に飛び込んできてくれた三枝先輩。
「やっぱり諦めきれません。三枝先輩のことが好きです」と続けた俺を、腕の中から困った顔で見上げていましたよね。
自分の気持ちが、好きな人を困らせているという現実。
αの力関係に抗ってでも、この人が欲しいと思っていたのに辛くなる。
笹部先輩のものになるまでは諦めないと固めていた気持ちが、脆く儚く足元から崩れてしまいそうだ。
予選は応援するな!
でも、決勝で当たったら俺のクラスは負けへんで?」
こちらの気持ちを試すような、挑発を含んだ意地悪い上目遣い。
そこには、自分のクラスが負けるわけないという自信が滲んでいた。
三枝先輩は、自分のことなら絶対にこんな顔を見せない。
レアな表情を間近で見てしまい、うぐっと息が喉元で詰まり変な音が出そうになった。
もぅ、意地悪な三枝先輩とか可愛すぎなんですよ!
クラス別リレーは、学年毎に抽選でまずは2レース。
そこで一位になったクラス、全学年で6クラスの代表が最後に教師チームを追加して決勝戦へ進む。
優勝すれば、10点。
順位が下がる毎に、マイナス一点。
教師チームには点数が入らない分、α性は二名までという制限はない。
例えα性だけで揃えても、日ごろの運動不足を差し引くので結構良い勝負になるらしい。
「俺のクラスも、結構速いですよ」
「そうやねんてなぁ。
さっき、海ちゃんがな。
β枠は運動部で固めてるって教えてくれたわ」
「あぁ、さっき待ってるときに話してたのはそれだったんですか」
「うん。
空ちゃんとこは、昨日の試合であんま勝てへんかったしな。
ここで、巻き返したいって言ってた。
俺のクラス、昨日は全戦全勝で勢いに乗ってるし、このままぶっちぎりで学園祭に持ち越すで!」
ブイサイン付きの明るい笑顔に、心臓がギュッと絞られる。
さっきはなんとか耐えたけど、今回は顔にも動揺が出てしまったらしい。
三枝先輩は、困った顔で視線を泳がせながらブイサインを崩した手をおずおずと下ろした。
「か、桂木君・・・」
「す、すみません・・・」
二人して落ち着かず、言葉を探して互いの顔を見ては俯くを繰り返してしまう。
あのときと同じ顔をまたさせてしまってる。
もう一度断られたとき。
俺、今みたいに三枝先輩のことを困らせてしまいましたよね。
友達からと言われて、納得したふりをして。
好きな人が出来たと言われて、そうですかと飲み込んだふりをして。
別れ際、改札口に吸い込まれていく背中を今俺の手で止めないと、このまま俺は切り捨てられて三枝先輩の対象から完全に外れてしまうと実感して怖くなった。
咄嗟に掴んだ手を振り払わず、引き寄せられるまま俺の胸に飛び込んできてくれた三枝先輩。
「やっぱり諦めきれません。三枝先輩のことが好きです」と続けた俺を、腕の中から困った顔で見上げていましたよね。
自分の気持ちが、好きな人を困らせているという現実。
αの力関係に抗ってでも、この人が欲しいと思っていたのに辛くなる。
笹部先輩のものになるまでは諦めないと固めていた気持ちが、脆く儚く足元から崩れてしまいそうだ。
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