ヘタレαにつかまりまして ２

25 体育祭

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樟葉は、試合終了後も女子生徒に囲まれている。
勝利条件として、樟葉のコスプレが手堅いと感じたのは同じだったようだ。
もっともえみ感を出すためにどうすれば良いか、真剣に話し合いが行われる。
樟葉のジャージの着こなしについて、あぁでもない、こうでもないと盛り上がっていた。
樟葉は話の中央にいるが、話の流れについていけずにキョロキョロしている。

アニメを見ていない俺は力になれそうにないし。
三枝は、そこに入っていく余裕は無い。
俺の隣に立ったまま、両拳を強く握って「大丈夫、ちゃんと謝れば大丈夫っ」とブツブツ自己暗示をかけていた。
武道館をザッと見渡すと、笹部が胡座に肩肘をつき小難しい顔をしているのが確認できた。
俺と目が合うと、すっきりしないモヤモヤした顔を更に曇らせる。

なんだ、一試合では時間が足りなかったのか？
まぁ、笹部に優しくなんて無茶な注文だったな。
笹部が馬鹿をやらかしそうになったら、俺が止めるしかない。
三枝を泣かせるのは、絶対に絶対に許さんっ


「三枝、行くぞ？」

「うんっ」


三枝から、気合いのこもった返事。
樟葉のことは女子生徒に任せ、樟葉にはくれぐれもトイレに一人で行かないよう、行くなら中等部の職員トイレまで女子生徒についてきて扉前で見張ってもらうよう念押ししておく。

男子トイレの個室に押し込まれるとか、無茶なことをする生徒はいないと思うが警戒しすぎることは無いしな。
樟葉は、今の姿と注目されていることに自覚がないのでヘラヘラ笑う。


「フフフ、かなちゃんたら大袈裟だよぉ」

「大袈裟じゃないから言ってるんだ」

「そうよ、みこたんっ」

「みこたん、さっきも握手会が始まりそうだったじゃないっ」


こんな風に、と、どさくさに紛れて樟葉の右手を握った女子生徒が周りから「一人だけズルい」と総突っ込み。
このあと、チーム内限定の握手会が始まっていた。
「やだっ、なんでこんなに柔らかくて小さくてスベスベなの？」「みこたん、ヤバイっっ」「手だけじゃなくて、ギュッてしたいっ」

さすがに樟葉も、女子生徒から抱き締めたいと正面から迫られ照れて嫌がっていた。