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23 新生徒会

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「三枝、もう一つ残ってるが?」


三枝の机を指差し、気を引く。
この場にいる全員に行き渡ったのに、他に誰かに渡すのか?
それにもメッセージカードがついるから、余分という訳じゃなさそうだ。
思い思いに食べたり、鞄に仕舞っていた面々も残された袋に気付いてはいたらしい。


「「三枝センパイ、余りなら欲しいっ」」


狙っていた双子は、同時におねだり。
三枝の机の前から、向かいの笹部の席の横に立っていた三枝へ前傾姿勢でこれが欲しくて堪らないと訴える。
三枝は、その勢いのあるお願いに押され、パチパチ目を瞬かせて困ったように眉を寄せた。


「ごめん、海ちゃん、空ちゃん。
それ、余りやないねん。
桂木君にこのあと渡す分やねん」


自分の席に戻り、双子の目から隠すように急いで袋をリュックサックへ入れる。
海も空も、留め具がカチリと音を立てるまで袋の行方を恨めしげに目で追っていた。
そんなに欲しかったのか・・・まだ手元に自分達の分があるのに。

と言うか、だ。


「三枝・・・桂木に渡すのか?」


変異種Ωだったことはばれていないが、あっちはβでもお前が好きだと告白してきたαだぞ?
手作りのお菓子なんて渡して良いのか??
好きな人からそんなものを渡されたら、舞い上がっておかしなフラグを自分から立てに行くことになるんじゃ・・・


「桂木君って、三枝君の騎士様αだよね?
三年生の間でも有名だよ。
もしかして、付き合ってるの?」


サラリと爆弾を投下したのは檜山先輩。
「げ、マジか」と竹居は露骨に顔をしかめる。
男性同士のαとβの組み合わせは、受け入れがたいからな。


「つつつつつ付き合ってへんよ!
桂木君とは、友達なんっ
友達っっ」


動揺しすぎた三枝は、両手をバタバタ騒がしく振り回して否定する。
そんなに顔を赤くして、必死に言い募ろうとすればするほど怪しくなるぞ?
竹居に弁明しながら、誰よりも誤解されたくない笹部を気にしているが。

笹部の馬鹿は、椅子に座ったまま。
お菓子の袋にしか目も気も向いていない。
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