ヘタレαにつかまりまして ２

21 夏休み side 倭人

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今日は少しくらい話が進めばいいけどなぁ。
前回は、最後まで樟葉が父さんに慣れなかったからなぁ。
そろそろ進めてくれないと、夏休みがこのまま三枝のことで終わりそうだ。

カナは三枝が心配らしく、夏休みに入ってからずっとそわそわしてる。
俺も、来月の生徒会改選のことがあるから夏休みに入ってからも昼間は学園に行ってることが多かったし。
その間、カナには遥馬さんの話し相手になって貰ってたりで結局二人の時間が思ったよりも取れてないんだよなぁ。

遥馬さん、兄貴にはイライラしても、カナにはイライラしないし逆に落ち着けるみたい。
自分がついイライラして当たると、兄貴が瀕死になるからな。
遥馬さんとしても、二人きりより他の人間が間にいて欲しいらしい。
父さんも手が空いてるときは、そこに入って三人で他愛ない話をしてるとか。

カナ、毎回いろんな話が聞けたって楽しそうなんだよなぁ。
生徒会の方は落ち着いてきたから、もう学園に行くことはないんだけど。
俺よりも、遥馬さんや父さんと話をする方が良いって言い出さないかな・・・

俺はよっぽど浮かない顔をしていたんだろう。
ソファーに座った遥馬さんから、「心配事？」と尋ねられた。


「いや、全然そんなんじゃないよ」

「そう？」


納得出来てないみたいだけど、それ以上は追求されなかった。
ソファーに深く腰かけた遥馬さんが着ているのは、マタニティー服。
遥馬さんが妊娠したとわかってから、兄貴のブランドにマタニティー服とベビー服の展開が当然のように決定していた。
遥馬さんが今着ているシャツもパンツも、その試作品だ。

ゆったりしたデザインって言うのもあるんだろうけど、お腹は目で見てわかるほど膨らんでいない。
今は妊娠四ヶ月に入ったばかり。
出産予定日は二月末らしい。