ヘタレαにつかまりまして ２

19 夏休み side 陸

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「三枝、何ぼーっとしてんだ？」

「え、あぁっっ、ごめんっっっ」　


呼べば慌てて着いてきたが、熱中症にでもなってんのか？
泳ぐ前に、水分を取らせねーと・・・追い付いてきた三枝の顔色を伺うと、合いそうになった視線を逸らされた。
目付きの悪さで、こういった反応には慣れてるつもりだが、群れに入ってからの三枝にされたのは初めてだ。
思いの外、傷付いてる自分にも驚く。

傷付いてんのを気付かれんのもシャクだから、こっちも目を逸らしといた。
いつもなら、真っ直ぐ見返してくんのにそんな態度をされるとビビるのもあんな。

なんかまた俺がやらかしてんのか？

昔からつるんでるメンバーとおんなじように扱うと、言葉が足りなさすぎて何度か誤解されてるしな。
どうも、三枝に泣かれんのは苦手だ。
三枝から好かれてないことは、わかってんだが。
まぁ、あれから多少は好かれたかも・・・そこは気にすることじゃねぇか。

うつむいた首筋に目を向けると、夏休み前には着けてなかった番避け・・・じゃねーや。
最近流行りの番避けモドキを着けている。
修学旅行で、買ってきたのか？
まぁ、Ωに偏見が無い三枝なら、βでもなんの躊躇いもなく着けてるんだろうな。

修学旅行先を聞いた岬から渡された土産リストと、「「兄ぃ、なんか買ってきて」」の無茶ぶり。
これを、まとわりついてきた稲葉に任せたら番避けモドキを入れてきてた。
店頭一番人気なんだと言ってやがったのは、本当だったのか。

いくら不幸なΩを増やさないためだと言われても、俺は着けるのはゴメンだな。