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16 社宅

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「三枝、両親への告知は絶対に必要なことだが、ヤマとその家族にも話していいだろうか?」

「えっと、菊川君と、家族、にもなん??」


三枝は、首を傾げて不思議がる。
家族については特に理解できないようで、困惑していた。
ヤマは、俺の番だし三枝にとっては友達だからわかるとしても、なぜそこに家族が出てくるのかが謎なんだろう。

家族については、俺もそれが最善策になるのかどうか自信は無い。
だが、黙って立ったままの萩野を見る限り、このやり方は間違いではないのだと手応えを感じる。
もし間違っていれば、正解を教えてくれるかはそのとき次第だが指摘はしてくれるしな。

俺は落ち着いて自分なりに考えたことを話してみた。


「三枝がΩだったことは、今の時点で最低限の人間にしか明かさない方が良いと思う。
発情期の現場に居合わせない限り、周りはβとして今までと変わらず三枝を見るだろうしな。
だが、ヤマは俺達群れのリーダーだ。
普段俺達が直接感じることはないが、ヤマの群れにいることで守られていることは多いんだ。
三枝がΩだったことをヤマが把握しておけば、ヤマはこれまでより三枝のことを気にかけてくれる。
それに、ヤマは絶対に俺しか番にしないから、万一のことが起こっても三枝を噛むことは無い。
他のα、松野達にまで話す必要があるかどうかは、ヤマの判断によるだろうがな」


樟葉も隣で頷く。
群れを作るαにとって、群れの一員は庇護対象にもなるんだ。
Ωだったことを隠しておくメリットは無い。
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