ヘタレαにつかまりまして ２

12 修学旅行 side 陸

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｢この部屋の痕跡、全部消してから戻れよ｣


睨めば、稲葉の身体は布団の上でビクンッと面白いくらいにひきつった。

αにとって、力は絶対だ。
硬質の声で命じれば、自分の身の程を知った稲葉はカクカク首を縦にふることしか出来ない。
涙の滲んだ目は、充満する凶悪なフェロモンに怯え恐怖で彩られていた・・・が。
その更に奥深い場所が、強者に支配された甘美に陶酔しきっていた。
物欲しげに、次の命令を得ようとまとわりついてくる。

あぁ、クッソ！

またかよ・・・げんなりと肩を落とし、さっさと部屋を出た。
下手にフェロモンを使うと、俺の力に媚を売ろうとするこんなんばっかが増えるんだよなぁ。
自分より強いαに従うことは、αにとっちゃ当たり前なんだが・・・

どうも、この辺りのさじ加減も苦手だ。
少数でしか行動しないファミリータイプのαは、団体行動には不向き。
α同士の程好い距離感が、全く掴めねぇ。