ヘタレαにつかまりまして ２

10 入籍

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４月以降、菊川家は何かと慌ただしい。
去年は、俺が飛鳥さんの番として身請けされたのにヤマと番になるハプニングがあったが、それと同じくらいの衝撃が走ったからだ。

清人さんの番である遥馬さんが、清人さんに何度求婚されても頑なに拒んでいた入籍を遂に受け入れた。
受け入れるだけで、清人さんが大喜びするのは目に見えていたが。
遥馬さんは、俺達と一緒に作った指輪を清人さんに贈った時に、自分から結婚してくださいと申し込んだそうだ。

翌日、なにも知らずに食堂で一緒になった清人さんを見て、ヤマと俺は食事前から東の離れに戻りたくなった・・・清人さんは上機嫌を突き抜け、凍てつく眼差しを封印し、満面の笑みを惜しげもなく浮かべていたからな。

あの澪さんと陽太さんも目線を逸らし、関わらないようにされるくらい、人が違っていた。

飛鳥さんが、ちょうど長期出張中で不在だったのは幸いした。
いつものように遥馬さんをからかったり、清人さんに攻撃的なことを言われたら・・・恐らく大惨事になっていた筈だ。

ヤマに至っては、清人さんの隣だと食事をする前から胸焼けがするとグッタリ。
Ωの俺には、清人さんが歓喜し飛び回ってある意味うるさいくらいに賑やかなフェロモンだったが。
αには、どうやら自慢の押し付けだったらしい。