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番外編
真似っこ、お揃い、あのひとと 24(完)
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「風花は知ってるんでしょ?
いつ顔を出すのか教えてよ」
「落ち着きなさいよ、風音。
世良ちゃんももう15歳なんだから、自分で判断して動けるわよ。
まぁ、本当にお付き合いしだしたら、あちらの家に挨拶に行くことに反対しないわ」
フフフと、楽しそうに笑う風花姉貴。敵か味方かわからなくなってなるんだけど。もぉ、Ωの弟を大事にしてくれるのは有り難いけどさ。二人して悪い顔になって、アイコンタクトでなんかやってるよ。うん、放っておこう。
アングラが関わっているなら、萩色は諦めるしかないよなぁ。気持ちを切り替えて、他の方法でどうすれば茜君に意識してもらえるかを考えるとしよう。
茜君に俺色のフレリを着けてもらったらって言うのは出来なくなったから・・・うん、ド定番のお揃いしかないな。
追加で開けていたウィンドウを閉じて、茜色の展開図に集中。これで、Ω用とαβ用を作ろう。
俺が真剣に悩みながら作っていたら、話し終わった風花と風音が背後から見守ってくれていた。
一週間後。
「世良ちゃん、届いたわよ」
お昼休みに廊下を茜君と歩いていたら、風花が保健室から顔を出して手招き。ドキンッと心臓が跳ねて、足が動かなくなる。
「俺、先行っとくな」
茜君は、気を使ってそのまま歩いて行こうとしたんだけど。い、勢いが無いと、言えずにこのまま家に持ち帰ってしまうかもしれないっっ
「ま、待って、茜君っ
一緒に来て欲しいんだっ」
「いいぜ~」
ガチガチに緊張してるから、声も裏返って不自然だったのに。茜君は、あっさりと戻って来てくれる。
「何か頼んでたのか?
一緒に住んでるのに、わざわざ学校とか急ぎ?」
「い、急ぎといえば、急ぎ、かなぁ」
あぁ、怖いな。もし、受け取って貰えなかったら、茜君とこんなふうに話すのも最後になるのかな。いやいや、茜君はそんなに心の狭い人じゃない。きっと友達としてなら側に居させてもらえる。だから、受験勉強くらいなら一緒に出来るよね?こ、高校も同じままにしてくれるかなぁ。
保健室が近付くと、それに比例して胃がキリキリ痛む。心臓なんか、破裂しそうなくらいバクバク鳴ってるよ。普段、緊張なんてしないから、気持ち悪いし吐きそうだし逃げたくなって来た。
俺が保健室で何をしたいか察した風花は、優しく笑って扉の前に出て来てくれていた。大事な告白は、二人きりでさせてくれるみたいだ。
昼休み終了まで、あと10分。時間制限がある方が、思い切って言えるよね。深呼吸してから、先に保健室へ入る。風花の机の上には、白くて長細い箱が2つ。付箋が片方にだけ着いていて、それには俺の名前が書いてあった。
気合を入れてから、付箋がついてない箱を両手で包み込むように優しく抱え、茜君に向き直る。扉が閉まった保健室には、俺と茜君の二人しかいない。
「あ、茜君っ
と、突然こんなこと言ったら困ると思うし、その、返事は今すぐじゃなくても良いんだけど」
茜君は、俺の勢いに押されて完全に面食らっていた。びっくりさせちゃってるよ。でも、言わないとっっ
「俺と、お揃いのフレリを着けてくれませんかっっ」
手の中で、カタカタ震える箱を差し出し頭を下げる。
どうか、俺と番になってくださいっっ
「良いよ」
「まだ中学生だし、俺からなんて困るってわかってるんだけど・・・って、え?」
掌が軽くなって、顔をほんの少しだけ上げたら、茜君の手に箱が・・・受け取ってもらえたぁっ
俺は感極まって、思わず泣きながら茜君に抱きついてしまった。
いつ顔を出すのか教えてよ」
「落ち着きなさいよ、風音。
世良ちゃんももう15歳なんだから、自分で判断して動けるわよ。
まぁ、本当にお付き合いしだしたら、あちらの家に挨拶に行くことに反対しないわ」
フフフと、楽しそうに笑う風花姉貴。敵か味方かわからなくなってなるんだけど。もぉ、Ωの弟を大事にしてくれるのは有り難いけどさ。二人して悪い顔になって、アイコンタクトでなんかやってるよ。うん、放っておこう。
アングラが関わっているなら、萩色は諦めるしかないよなぁ。気持ちを切り替えて、他の方法でどうすれば茜君に意識してもらえるかを考えるとしよう。
茜君に俺色のフレリを着けてもらったらって言うのは出来なくなったから・・・うん、ド定番のお揃いしかないな。
追加で開けていたウィンドウを閉じて、茜色の展開図に集中。これで、Ω用とαβ用を作ろう。
俺が真剣に悩みながら作っていたら、話し終わった風花と風音が背後から見守ってくれていた。
一週間後。
「世良ちゃん、届いたわよ」
お昼休みに廊下を茜君と歩いていたら、風花が保健室から顔を出して手招き。ドキンッと心臓が跳ねて、足が動かなくなる。
「俺、先行っとくな」
茜君は、気を使ってそのまま歩いて行こうとしたんだけど。い、勢いが無いと、言えずにこのまま家に持ち帰ってしまうかもしれないっっ
「ま、待って、茜君っ
一緒に来て欲しいんだっ」
「いいぜ~」
ガチガチに緊張してるから、声も裏返って不自然だったのに。茜君は、あっさりと戻って来てくれる。
「何か頼んでたのか?
一緒に住んでるのに、わざわざ学校とか急ぎ?」
「い、急ぎといえば、急ぎ、かなぁ」
あぁ、怖いな。もし、受け取って貰えなかったら、茜君とこんなふうに話すのも最後になるのかな。いやいや、茜君はそんなに心の狭い人じゃない。きっと友達としてなら側に居させてもらえる。だから、受験勉強くらいなら一緒に出来るよね?こ、高校も同じままにしてくれるかなぁ。
保健室が近付くと、それに比例して胃がキリキリ痛む。心臓なんか、破裂しそうなくらいバクバク鳴ってるよ。普段、緊張なんてしないから、気持ち悪いし吐きそうだし逃げたくなって来た。
俺が保健室で何をしたいか察した風花は、優しく笑って扉の前に出て来てくれていた。大事な告白は、二人きりでさせてくれるみたいだ。
昼休み終了まで、あと10分。時間制限がある方が、思い切って言えるよね。深呼吸してから、先に保健室へ入る。風花の机の上には、白くて長細い箱が2つ。付箋が片方にだけ着いていて、それには俺の名前が書いてあった。
気合を入れてから、付箋がついてない箱を両手で包み込むように優しく抱え、茜君に向き直る。扉が閉まった保健室には、俺と茜君の二人しかいない。
「あ、茜君っ
と、突然こんなこと言ったら困ると思うし、その、返事は今すぐじゃなくても良いんだけど」
茜君は、俺の勢いに押されて完全に面食らっていた。びっくりさせちゃってるよ。でも、言わないとっっ
「俺と、お揃いのフレリを着けてくれませんかっっ」
手の中で、カタカタ震える箱を差し出し頭を下げる。
どうか、俺と番になってくださいっっ
「良いよ」
「まだ中学生だし、俺からなんて困るってわかってるんだけど・・・って、え?」
掌が軽くなって、顔をほんの少しだけ上げたら、茜君の手に箱が・・・受け取ってもらえたぁっ
俺は感極まって、思わず泣きながら茜君に抱きついてしまった。
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