可愛いΩのナカセカタ

三日月

文字の大きさ
上 下
459 / 461
番外編

真似っこ、お揃い、あのひとと 23

しおりを挟む
 俺の苗字、萩野に関連した色があったからちょうど良いって思ってたのに。俺の計画が台無しだっっ


「おーぃ、世良ちゃん?
 あたしの話、聞いてる?」

「煩いなぁっ」

「せ、世良ちゃんが、冷たいっっ」


 風音に構ってる余裕なんか無いの!どうしよう・・・計画自体が破綻しちゃうよ。よく似た色とかじゃ、意味が無い。萩野の萩色だから意味があったのに。
 投げやりになってタブレットから手を離す。片方のほっぺをテーブルにのせ、「はぁぁぁ~」と溜息。魂まで抜けちゃいそうだ。ずっとずっとこの日のために練ってきたのに。ここに来て、アングラの禁忌色?そんなのあるなら、前もって教えといて欲しかったよっ


「世良ちゃん、そんなにガッカリしなくても。
 ほら、他の色を探してみたら?」


 風花が、テーブルの上を滑ったタブレットを持ち上げて、カラーチャート画面を出してくれたんだけど。他の色じゃ駄目なんだってばぁ。


「ダメだよ、風花姉貴。
 俺が茜色、茜君が萩色で作りたかったんだもん」

「もんって可愛い・・・って言ってる場合じゃ無かったわね。
 やっぱり、そう言うことなのかぁ」

「え、茜君の分はダメ?
 風花、本数制限して無かったし」

「んんっ、そういう意味じゃなくて。
 意味の問題ね、意味の」


 風花の茜君の評価が低いのは知ってるけど。そんなにくっきり眉間に皺を寄せないで欲しい。


「何よ、意味って??」

「フレリってね。
 どんどん時代の流れで意味を変えてきちゃってて・・・最近だと、Ωからαに渡すと番にして欲しいって言う意思表示になってるのよ。
 まぁ、その逆の方が主流ではあるけど」

「なんだとおぉぉぉぉっっ」

「風音、煩い」


 風花の解説を聞いて絶叫する風音。甲高い声が、耳の中でワンワンこだましてるよ。顔を上げて睨むと、自分の手で自分の口を塞いでくれた。いつまで経っても落ち着かない姉貴だ。


「え、ちょ、どういうことなの??
 あのバカザルと世良ちゃん、お付き合いしてるの??
 そんなの、聞いてないんだけどぉぉ・・・」


 あまりの動揺に、声が震えて涙目になってる。こんな風音の姿は初めて見たかも。


「付き合って無いよ。
 付き合いたいから、今回のフレリに賭けてたんだ。
 このお互いの名前に関係するフレリを渡して、意識してもらおうって言うのが俺の計画だったの」


 茜君に告白すらしたことないし、友達として一緒にいられるだけでも十分嬉しかったんだけど。そろそろ、そんなこと言ってる場合じゃない年齢に来てしまった。茜君は、まだ恋愛とかわからかないって言ってたけど、それに気を緩めている間に俺以外の誰かと付き合ったり番にしたりとかの展開が来たら絶対に耐えられない。
 高校に進学して、新しい出会いで一気に置いて行かれるとか絶対に絶対に絶対に嫌だ。フレリで告白して・・・もし振られたら、進学先も変えなきゃいけ無くなるのかぁ。


「次、あのバカザルはいつここに来んの?
 受験勉強、一緒にやってるんでしょ?」


 バキバキ指を鳴らしてる風音。嫌な予感しかしないから無視。兄姉が俺に過保護なせいで、小学校ではずーっと遠巻きにされてたんだ。毎朝風花姉貴と作ってる四人分のお弁当で、茜君のことが好きだってことまでバレたっぽいけど。
 そっとしておいて欲しい。
しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

処理中です...