可愛いΩのナカセカタ

番外編

嵐に舞う雪 １９

「はい、次は雪さんの番ですよ？
　取り合えず、こっち向きましょうか？」


「別に、謝ること、してねーし・・・」


　子どもですか？拗ねた声でボソボソと。俺が把握しているとわかってるのに往生際が悪い。本当にこの人は・・・幾つになっても可愛い。これでよくヤクザとか、やれてましたね？
　ポンポン、観念しろと肩を叩くと。不承不承、雪さんは顔をこちらに向ける。

　生徒の課題採点や授業準備に教授の講演会準備まで重なり、更に世良と比べてあまりに出来ない他一名のために、オリジナル受験対策テキストを作成・・・平日も土日も、他のことに掛かりきりになってしまった俺を心配したのか、なんなのか。

　今朝、大学構内で暴力事件起こしましたよね？

　俺も雪さんの所有フェロモンを更新するのを怠ってましたし、全然抱く時間がなかったから悪いんですけど。色気振り撒くアルビノΩに目が眩んだバカ学生、ボッコボッコにしちゃいましたよね？

　久し振りに人を殴ったから、拳痛めて両手の甲が赤くなってるし。何発か貰って身体も痛めてるんでしょう？騒ぎを聞いて駆け付けるとき、気持ちが急いて四階の研究室から飛び降り、こっちも騒ぎになりましたけど。