可愛いΩのナカセカタ

三日月

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番外編

第一回世良会議 7

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 凪は自分が手に取るのを諦めて、穴が開くほど情報シートを見てくる。ジリジリ視線が当たったとこから焦げ付いて煙が昇りそうね。青嵐は荒れた机の上を片付け終わると、ついでにキッチンでコーヒー豆をゴリゴリ挽き出す。焙煎された豆の薫りが漂ってきてほっこりしちゃうわ。この作業、青嵐の精神安定剤みたいなもんなのよね。大分動揺してる証拠だわ。


「意味わかんなーいっ
 超チビじゃっ、バカじゃんっ
 どこに世良ちゃんはときめくの?
 だって、世良ちゃんは自分より背が高くってかっこいいα狙いだったじゃんっ」

「それ、保育園の話でしょう?」


 小学校に入ってから、にょきにょき世良ちゃんが縦に伸びだしたころ。世良ちゃんは、由良より疾風様の方が低いのをやけに気にしていたのよね。周りの番と、自分の親がだいぶん違うなってやっとやっと気付いたとき。今でも、Ωなせいか世良ちゃんは疾風様の恐ろしさをあんまり理解してないし、鈍い。そこがまた可愛いし、鈍くいられるのは正直うらやましい。

 少しは自分の家族について考えるようになって、疾風様の近くにいるだけで由良がΩに見えるし、身長なんて関係なく愛されてることに気付いて身長は関係ないなって吹っ切ってたのよね。
 まぁ、疾風様の場合は、身長差なんか全く問題にしてないし、気にしてる由良をわざと恥ずかしがらせるのに上手く利用されていらっしゃいましたが。

 「よしっ、背は関係ないなっ」って、持って帰ってきた健康診断カードと、いつものごとくイチャイチャしてた疾風様と由良を見比べて、自分の身長が伸びてる不安をほぼ思い込みで払拭してたのよね。
 あの二人が仲良くしてようが、世良ちゃんの相手次第よ、とはあのときさすがに言えなかったわ。一生懸命過ぎて。
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