可愛いΩのナカセカタ

三日月

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 好き勝手に由良の身体を扱い傷付けたのに、本体が覚醒して出てきた求愛フェロモンはいつも通り。フワフワ由良の身体から湯気のように立ち上ぼり、隣に座る俺を包み込んでくる。乱暴な番を見限ってないらしい。
 由良の横顔を眺めていたら、俺の視線に気付いた由良が信頼しきった顔でニコッと笑いかけてきた。啼かせ過ぎて充血した目と腫れた瞼なのにな。ヤリ過ぎた俺を責める気なんか、さらさらない。この顔見てると、自分のリクエストに応えてくれたんだなと寧ろ感謝されてそうで居心地が悪い。
 起きたら謝るつもりだったんだが・・・由良には敵わないな。俺に振り回されることが多いのに、全部受け止めて笑って隣にいてくれる。

 無音を遮ったのは、キュルル・・・と可愛い由良の腹の虫だった。赤面して自分の腹を押さえる由良に笑ってしまう。そりゃそうだろう。昼も食べずに寝てたんだから。


「白飯はあったし、青嵐が持ってきてた野菜を炒めたが食べれるか?
 無理ならスムージー作るけど?」


 二日連続でガンガン内臓突き上げてるからな。腹の虫は鳴っても、食欲はそれほどないんじゃないか?


「(疾風が作ってくれたのか!
 野菜炒めが食べたいっっ)」


 うわぁ、目を輝かせて期待されてもただの野菜炒めだぞ?食べれれば何でも良いくらいに考えていた頃と違い、由良の味に馴れたからな。今更自分で作ったものは味気無い。
 「期待するなよ」と言ったが、由良はジッと俺がキッチンから持ってくるまで熱烈な視線を背中に注ぎ続けてくれた。
 由良が起きるまで、気を紛らわせるのに作っていたからすっかり冷めてる。レンジで温めてる間に、用意しておいた二人分の茶碗に白飯をよそおうとして止めた。箸も一人分に減らして、由良の前まで運ぼうと振り返ったら・・・既に顔が赤い。
 これから恥ずかしがる由良に、食べさせてやろうと思っていたのに早すぎる。


「どうかした?」

「(は、疾風、自分の服を着て・・・っ)」


 やっと気付いたのか?隣に座ってたのに。俺が着ていたのは、由良のスウェット上下。由良、俺に匂いつけるのも大好きだよな。優しく微笑んでやりながら、この格好のまま由良と交互に一つの箸で食べさせたら予想以上に由良が照れながら大興奮してくれた。
 食べ終わると、美味しい筈がないのに『美味しかった』その笑顔が本心だからなぁ、由良は。こっちが照れ臭い。
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