可愛いΩのナカセカタ

315 α 現在

「は、やて、動いて？」


　背を捩り、ネダる由良の顔からは苦痛が消えていた。腰を上げて俺に貫かれてる淫らな格好なのに、上げた顔は誇らしげで清々しい。随分余裕だな。さっきまで、虚ろで瀕死だったのに。
　従順に俺を飲み込みうねって離さない身体と、指先で朱色に染まる頬に残った涙の跡を拭いてる横顔とがアンバランス。俺のマックスサイズを呑み込んでの反応じゃないだろう。


「由良、なんで笑ってるんだよ？｣

「いや、えっと、笑ってるつもりはないんだ。
　ずっと、疾風を初めから、その、受け入れられたらって、思ってたから。
　グチャグチャにして欲しいって、言ってみるもの・・・｣


　由良の続きの言葉は喉奥で消えた。初々しいくせに、たまにとんでもないんだよ、由良はっ！油断している由良に覆い被さり、両手首を掴み乱暴なストローク。勝手に腰が動いてしまう。こんな俺を、全て受け止め笑う由良が愛しくて堪らない。
　このままじゃ、由良が壊れるって頭でわかってんのに。腰骨が軋むまで穿ち、反動に任せて腰を引いたらキュポンと亀頭も抜けてしまう。勢いに任せて由良の肩を引き寄せ、開いた後孔が絞まるより早く捩じ入れて由良の身体を抉る。もっと、もっと、俺を受け止める姿を見せてくれっ
　俺の性急で乱暴な動きについてこれず、由良は甲高い悲鳴を上げて啼き喚いてるのはわかってるけど止められない。

　あぁ、ヤバイ。

　グチャグチャなんてレベルじゃない。由良の身体を粉々に壊してしまう。荒れ狂う発情が頭ん中を掻き乱し、こんなに由良を好き放題喰らっているのに渇望が増す。由良の求愛フェロモンを蹴散らし、掴まえている由良の肩を砕きそうなくらい過剰な力を込めてしまう。くそっ、止まらない・・・っっ
　力もフェロモンも制御できないっ
　焦ってもどうにもならいくらい、由良を全身で確かめたい欲望が勝っていた。自分を受け止める存在を隅々まで感じたい。目の前の番への発情に荒れ狂う俺と、由良を壊す絶望に冷える俺が同時に俺の中にある。


　イヤだ、由良をこの手で壊したくないっ


　吼えた視界に、由良の求愛フェロモンが部屋中を包み込むのが見えた。絶望から、解放される。大丈夫だ、由良のフェロモンが俺を宥めて包み込んでくれる。
　次第に発情も動きも緩慢になっていくのが、理性の端で確認出来た。心が軽くなり、由良を背後から抱き締める。身悶えする由良のうなじに舌を這わせ、ニヤリと嗤った。

　さぁ、俺が満足するまで思う存分喰らって啼いて渇望を覚えた俺を慰めて貰おうか。