例えβに生まれても

35 隔離の王子様

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清人様が、モデルの蓮華さんと何度も撮り直したのに反応しなくて。
でも、俺には牙を伸ばされたこと。
写真で見てしまった美人なお姉さん達が、誰も清人様の牙を見てないこと。

あぁ、本当にこの牙は俺のための牙なんだって。
時間が経てば経つほど実感が沸いてくる。
清人様、清人様、本当に俺にだけこの牙を捧げてくれるの？
清人様の牙を、俺だけのものにしていいの？

チュクチュク清人様の舌を吸って、牙を舐めて、コクンと口の中に溢れた唾液を飲み込む。
喉を伝って自分の中に清人様の唾液が入ってくる感触に、ゾクリと背筋が震えた。

ふわぁぁ、どうしよう、なんか、気持ちも身体も昂って、おかしくなるっっ

その音を聴いた清人様にギュッと強く肩を抱かれ、今度は清人様の舌が俺の口の中に入ってきた。

ネットで見つけてしまった写真の中の冷めた清人様は、ここにはいない。

おちんちんをしごく乱暴な手の動きに身体を反らすと、清人様の息も舌使いも荒さが増して俺のことを食べようと覆い被さってきて。
俺は、清人様の激流に呑み込まれて息をするのも辛いくらい。

情けない、本当にすごく情けない告白をしちゃって恥ずかしいのと。
清人様に、やっと自分の気持ちが言えた安堵と。
清人様が、俺の告白を喜んでくださっているのが嬉しいのと。

清人様に正面から抱き締められて、キスをしているこの状況。

全然、清人様のこと以外考える余裕なんて無いのにね。
いろんな感情が、堰をきって、ぐちゃぐちゃなんだよ。

そんな状態で、清人様が俺に興奮されていて。
俺も、興奮していて。


「ハル、好きだよ」


唇を離す、わずかな時間。
掠れた声の清人様から贈られた言葉が、身体の中で膨らんでくる。
隙間がないくらい、俺は清人様でいっぱいになる。

Ωじゃないのに、噛まれちゃったこと、が。
ーーー全然ショックじゃなくて。
清人様の牙が突き刺さった痛み、が。
ーーー清人様の気持ちを、俺の身体に直接刻まれたみたいに思えてきて。