550 / 621
33 興奮の王子様
29
しおりを挟む
薄皮一枚さえ傷つけないよう、加減された優しい甘噛み。
それでも、自分の皮膚に清人様の牙が突き立てられたことに変わりはなくて。
チクリと、尖った牙の先で押された場所が僅かに痛んだ。
ふぅええ??
ここここの感触って、この感触って???
まさか、まさかって否定するよりもね。
清人様が俺の首のつけねの辺りで呼吸されてることに、気がいってしまう。
唇や鼻を行き来する熱い息が、肌をくすぐり、ゾワゾワそこからなにかが生まれるんじゃないかって思えるくらいに、なんか、もう、なんか、ね?
居ても立ってもいられないというか。
落ち着かなくって!
痛みのことを考えられなくなってしまった。
全身が心臓になったみたいに、ドクドク脈打って。
背中と腰に回された腕が、痛いくらいに俺を強く抱き締めていて。
噛みやすいように、俺の頭を自分に引き寄せ包んだ掌が、頭に飾られていた花を無造作につかんで。
花の匂いが傷つけられて強くなって、ふわふわ漂ってくる。
おおお俺の目の前には、清人様のうなじが無防備に近付いて来てるんだけ、ど。
そそそそそれ以上にっ、ほんのり紅に染まった肌から立ち込める色気が蒸せるくらいに迫っててくるんだよっ
俺、俺、清人様に興奮しちゃう・・・
こんなに、こんなに、性的な清人様を初めて見たーーーーーっ
うわぁ、うわぁ、しかも俺、そんな清人様に、かまかまかま噛まれてるよねぇーーーーー?!
高まる感情パニック追加!
もう、俺、これ以上ダメですぅっ
卒倒しそうな俺の耳に、清人様の声が届いた。
「可愛いハルを、これ以上見せる気はない」
俺を抱えた清人様は、体勢を変えないまま背中越しにカメラに向かって威嚇。
その挑戦的な眼差し、不遜な笑顔に戦慄するスタッフを一瞥し立ち上がると。
無言で、俺を抱っこしたままスタスタ控え室に向かって歩き出されてしまわれた。
え、え、あの、終わり、なんですか??
状況がわからない俺を抱えたまま、清人様は扉を近くにいたスタッフに開けさせてスタジオから立ち去る。
この後、俺と清人様が控え室に戻ったくらいで。
沈黙のスタジオに、監督から「カァーーーットーーーーーッッ」の絶叫が漸く入って。
撮影は、終わった、らしいです。
それでも、自分の皮膚に清人様の牙が突き立てられたことに変わりはなくて。
チクリと、尖った牙の先で押された場所が僅かに痛んだ。
ふぅええ??
ここここの感触って、この感触って???
まさか、まさかって否定するよりもね。
清人様が俺の首のつけねの辺りで呼吸されてることに、気がいってしまう。
唇や鼻を行き来する熱い息が、肌をくすぐり、ゾワゾワそこからなにかが生まれるんじゃないかって思えるくらいに、なんか、もう、なんか、ね?
居ても立ってもいられないというか。
落ち着かなくって!
痛みのことを考えられなくなってしまった。
全身が心臓になったみたいに、ドクドク脈打って。
背中と腰に回された腕が、痛いくらいに俺を強く抱き締めていて。
噛みやすいように、俺の頭を自分に引き寄せ包んだ掌が、頭に飾られていた花を無造作につかんで。
花の匂いが傷つけられて強くなって、ふわふわ漂ってくる。
おおお俺の目の前には、清人様のうなじが無防備に近付いて来てるんだけ、ど。
そそそそそれ以上にっ、ほんのり紅に染まった肌から立ち込める色気が蒸せるくらいに迫っててくるんだよっ
俺、俺、清人様に興奮しちゃう・・・
こんなに、こんなに、性的な清人様を初めて見たーーーーーっ
うわぁ、うわぁ、しかも俺、そんな清人様に、かまかまかま噛まれてるよねぇーーーーー?!
高まる感情パニック追加!
もう、俺、これ以上ダメですぅっ
卒倒しそうな俺の耳に、清人様の声が届いた。
「可愛いハルを、これ以上見せる気はない」
俺を抱えた清人様は、体勢を変えないまま背中越しにカメラに向かって威嚇。
その挑戦的な眼差し、不遜な笑顔に戦慄するスタッフを一瞥し立ち上がると。
無言で、俺を抱っこしたままスタスタ控え室に向かって歩き出されてしまわれた。
え、え、あの、終わり、なんですか??
状況がわからない俺を抱えたまま、清人様は扉を近くにいたスタッフに開けさせてスタジオから立ち去る。
この後、俺と清人様が控え室に戻ったくらいで。
沈黙のスタジオに、監督から「カァーーーットーーーーーッッ」の絶叫が漸く入って。
撮影は、終わった、らしいです。
1
お気に入りに追加
886
あなたにおすすめの小説
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
イケメンがご乱心すぎてついていけません!
アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」
俺にだけ許された呼び名
「見つけたよ。お前がオレのΩだ」
普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。
友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。
■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話
ゆるめ設定です。
…………………………………………………………………
イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる