例えβに生まれても

33 興奮の王子様

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清人様の熱い口内で、誘い込まれた俺の舌が吸われて清人様の舌に絡み付かれて、チクチク牙が唇に当たって。
当たると、そこからビリビリ身体も心も痺れて身動きがとれない。
自分で何かしようとか、思い付かなくなる。
ニュルニュル、舌を右に左に動かされるまま、俺は息継ぎさえままならない。


「ふぁ....ん、ふ.....はぁ」


もう、どうなってるかわからない。
霞がかった頭といつのまにか閉じていた瞼。
閉ざされた意識と視界では、どんどん考えることが億劫になってくる。
清人様とキスされて、気持ちよくなってしまって。
任せきりになって。

そんな中でも、清人様の唇に吸い寄せられ、顔だけは清人様の方を見上げていた。

ふわりと唇が触れ合い、身を引くより早く清人様の舌がヌルリと入り込んできて。
上顎を嘗められた途端に、カクンと膝から力が抜けて。
あぁ、このまま清人様の腕から滑り落ちれば、なんて。
甘い考えは、開始早々に許されなかったよ。

繋いでいた手を離されて、清人様の片腕に抱き寄せられる。
ぴったり上半身を合わせて、ドクドク二つの心臓の音も重なっていた。

清人様にキスされていると、清人様が俺を大切で好きで離したくないんだって。
不安な俺の心の隙間を埋めて、包んで、安心してしまう。
清人様としか、こんな大人なキスをしたことないんだけど、こんなにこんなにくったりしちゃうものなの？
それとも、大人になったら慣れるのかな。

今の俺は、清人様にされるがままになっちゃうよ。