例えβに生まれても

33 興奮の王子様

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「ひゃあっっ
や、やだ、止めてください、清人様っっ」


清人様の腕から落ちても構わない覚悟で、前屈みになってガシッと両手で手首を捕まえる。
清人様は、流石に歩いていられなくなってその場に立ち止まったんだけど。
俺が、一生懸命離して欲しくて引っ張っているのに。
びくともしない。

俺が落ちないようにバランスをとる余裕まで有るんだよ！
あぁ、なんか悔しいっ
清人様に敵うとこなんて一個も無いけど、こんなに差があると悔しいって思えてきたよ！

その間に、俺の鋭い声は壁に小鳥の群れを出現させた。
淡い緑の壁に、青い小鳥が羽ばたいて溶けていく。

今まで黙って見ていたスタッフの人もビックリされて、ザワザワ話し出されたのは見えたんだけど。
こんな、数十人の見ている前で、き、き、清人様は、なにをされてたんですかぁぁっっ

赤くなったり、青くなったり忙しい俺の顔を見ながら。
清人様は撫でるのを止めてくださらない。
俺が力を込めても、上回る力でクニクニ今度は内腿を揉まないでぇーーーーーっ

半泣きになってね。
清人様の腕から兎に角逃げよう。
もう、手を引っ張るのは無理だから、飛び降りちゃおうって。
後先考えずにもっと身体を前のめりにしたら、ゴツンと、清人様の頭に俺の頭が当たって。


「痛っ」


悲鳴を抑えきれずに、今度は壁に虹がかかった。