例えβに生まれても

32 区別の王子様

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「換気できたぞ。
アイツら呼んでこい！」
「照明、小道具、準備確認しろ！｣
「さっき使った場所は清掃完璧か？」
「音録りは後日するから、不要なマイクはは全て撤収だ」
「映像担当、最終チェックにかかれ！」


俺達三人の様子を周りで見ていたスタッフさん達は、お姉さんの指示で動き始めていた。
清人様とお姉さんが話している間も、いろんな人の声がスタジオを飛び交っていく。
スタジオに組まれたセットの周りで、慌ただしく走ったり物を運んだり皆大変そうだなぁ。
俺は、あの後直ぐに清人様から離して貰えたので息苦しさもなくてね。
毛布の上に膝を抱えた体育座り。
撮影準備が再開されたいくのをぼんやり眺めていた。

お姉さんは、蓮華さんの撮影は終わったって言われていたから.....あれ、もしかしなくても俺が覚醒するのを待たせてたのかな！
ひゃあっ、申し訳ないっっ


「ちょっと、清人は私と一緒に監督のところに行くわよ」

「はぁ？」

「は・あ・じゃ・な・い・のっ
それだけ清人のフェロモン塗りたくられてるβに、誰が手を出すって言うのよ」


お姉さんは、「仕事でしょう？」と清人様に強く出てね。
二人でセットの方に歩いていかれたよ。

俺は、せめて邪魔しないように身を縮めていたら。
顔面硬直の欅平さんが、スタジオの外からバタバタ足音をさせて俺に向かって走ってきてくれた。


｢大丈夫？？
あんな強烈なフェロモン浴びて.....たわりに、ちゃんと目が覚めてるわね？｣


｢あら、意外｣と、欅平さんはしゃがんで俺の顔色に首をかしげた。