494 / 621
31 撮影の王子様
30
しおりを挟む
清人様は、部屋に入ってから時計を確認。
溜め息をついて、生気の無いふらふらの欅平さんに命じられた。
「ハルを仕上げろ。
但し、必要以上に触れるなよ?」
「ま、任せてっ」
必死にコクコク頷かれる欅平さん。
清人様はその姿を見て、片眉をピクリと上げられたけど、無言で衣装のかかったハンガーを手に着替え始められた。
俺と欅平さんの目なんて全く気にされず、下着姿になられるからね。
はぁ、目のやり場に困って俯いちゃったよ。
清人様は、どこもかしこも清人様っ
誕生日に見てしまったあの動画も思い出して、うわぁぁぁってなっちゃう。
清人様と綺麗なお姉さんが・・・あの背中に腕を伸ばして、いっぱいキスして、あんなこととかこんなこととかっっ
「あ、あの、こっちに座って?」
欅平さんに恐る恐る話しかけられ我に返る。
気持ちが飛んじゃっていた俺に、欅平さんは机の前に座るよう椅子を引いてくれていた。
壁際にある机なら鏡の前なんだけど、長机の方で良いのかな?
「ふふっ
後で鏡を見たら、ビックリするくらい可愛くメイクするわね」
「え、は、はい?」
俺、後ろ姿だけだし、メイクって必要ないんじゃないかなぁって思ったんだけど。
欅平さんに笑顔で言われ頷いてしまった。
前髪をバンドで上げられて、顔にペタペタなにかを塗ったり、パフパフ粉を叩いたり。
うわぁ、いよいよ撮影なんだぁと緊張してきたよ。
着替え終わった清人様も、俺の隣でメイクを同時にされ始めた。
欅平さん、二人の回りを世話しなく動いていたんだけど。
俺の方は終わったみたいで、清人様にかかりきりになって数分後。
腰のポーチから櫛を抜き取ったとき、突然、「もぅ、気になりすぎてダメよっ」と体をくねらせるからビックリしちゃった。
俺と清人様の間で膝を曲げて、今まで無言だったのに弾ける勢いで俺に話しかけてきた。
「あのね、あのね、私は欅平って言ってね。
フリーでスタイリストをしているの。
格下αに触られるくらいなら、腕がたつβ連れてこいって言い出してくれた飛鳥様と清人様には感謝してもしきれないくらい恩があるんだけど」
「欅平さんは、βなんですか?」
清人様が任されてるから、てっきりαだって思っていたよ。
思わず欅平さんの方を向いたら、視界に清人様が飛び込んできた。
油断してたから、その横顔を直視しちゃってね。
お化粧なんて必要なのかな?って思っていたんだけど、綺麗がより綺麗になるからプロなんだなぁってわかっちゃいました!
溜め息をついて、生気の無いふらふらの欅平さんに命じられた。
「ハルを仕上げろ。
但し、必要以上に触れるなよ?」
「ま、任せてっ」
必死にコクコク頷かれる欅平さん。
清人様はその姿を見て、片眉をピクリと上げられたけど、無言で衣装のかかったハンガーを手に着替え始められた。
俺と欅平さんの目なんて全く気にされず、下着姿になられるからね。
はぁ、目のやり場に困って俯いちゃったよ。
清人様は、どこもかしこも清人様っ
誕生日に見てしまったあの動画も思い出して、うわぁぁぁってなっちゃう。
清人様と綺麗なお姉さんが・・・あの背中に腕を伸ばして、いっぱいキスして、あんなこととかこんなこととかっっ
「あ、あの、こっちに座って?」
欅平さんに恐る恐る話しかけられ我に返る。
気持ちが飛んじゃっていた俺に、欅平さんは机の前に座るよう椅子を引いてくれていた。
壁際にある机なら鏡の前なんだけど、長机の方で良いのかな?
「ふふっ
後で鏡を見たら、ビックリするくらい可愛くメイクするわね」
「え、は、はい?」
俺、後ろ姿だけだし、メイクって必要ないんじゃないかなぁって思ったんだけど。
欅平さんに笑顔で言われ頷いてしまった。
前髪をバンドで上げられて、顔にペタペタなにかを塗ったり、パフパフ粉を叩いたり。
うわぁ、いよいよ撮影なんだぁと緊張してきたよ。
着替え終わった清人様も、俺の隣でメイクを同時にされ始めた。
欅平さん、二人の回りを世話しなく動いていたんだけど。
俺の方は終わったみたいで、清人様にかかりきりになって数分後。
腰のポーチから櫛を抜き取ったとき、突然、「もぅ、気になりすぎてダメよっ」と体をくねらせるからビックリしちゃった。
俺と清人様の間で膝を曲げて、今まで無言だったのに弾ける勢いで俺に話しかけてきた。
「あのね、あのね、私は欅平って言ってね。
フリーでスタイリストをしているの。
格下αに触られるくらいなら、腕がたつβ連れてこいって言い出してくれた飛鳥様と清人様には感謝してもしきれないくらい恩があるんだけど」
「欅平さんは、βなんですか?」
清人様が任されてるから、てっきりαだって思っていたよ。
思わず欅平さんの方を向いたら、視界に清人様が飛び込んできた。
油断してたから、その横顔を直視しちゃってね。
お化粧なんて必要なのかな?って思っていたんだけど、綺麗がより綺麗になるからプロなんだなぁってわかっちゃいました!
1
お気に入りに追加
886
あなたにおすすめの小説
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
イケメンがご乱心すぎてついていけません!
アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」
俺にだけ許された呼び名
「見つけたよ。お前がオレのΩだ」
普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。
友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。
■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話
ゆるめ設定です。
…………………………………………………………………
イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる