例えβに生まれても

31 撮影の王子様

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ダァーーーーン！

突然部屋中に響いた音に、ビックリしすぎて清人様から顔が離れた。
そのまま、気になって音がした方に首を回す。
はぁ、あんなに清人様から目が離せなかったのが嘘みたいに動かせるよ。
驚いて、リセット出来たのかな？


｢呼ばれて参上、あ・な・た・の、欅平　雅信(けやきだいら　まさのぶ)よん☆｣


あと、数秒遅れていたら清人様とチュウしちゃっていた。
そんな絶妙のタイミングで、扉が壊れちゃうんじゃないかと心配になるくらい思いきりよく開け放たれた場所には。
一人の男性が、両手を天井に向かって華麗に広げたポーズで立っていた。
蛍光緑の派手なスカーフを首に巻いて、ピタッと身体にフィットした黄色地に原色花柄のシャツとラメ入りの銀のベルトに黒のパンツ姿。
ショートカットの頭の上には、銀色の帽子。
しかも、顔にお化粧もされてるよ！

年齢は、父さんより少し若いくらいかな？
飛鳥様とは比べ物にならないけれど、俺が知っている人の中ではその次くらいに派手な装いが似合っている。

突然の出現に俺もビックリしたんだけど、その人も部屋の中に入ってビックリしたみたい。
自分の名前を言ってから、手を挙げたままグルッと部屋を見渡してね。
俺と清人様の姿を確認した途端、両手をYの字に上げたまま硬直。

アイメイクばっちりなキラキラ睫毛がパチパチ瞬き。
瞬きしながら、目が泳いで。
ウルウル潤んで。


「ひぃっ
あの、お邪魔.....」

｢ま～さ～の～ぶ～っっ｣


何か言おうとしたのに、その声は地を這う清人様の声に消されてしまった。
男性は、清人様の空気を切り裂く冷たい眼差しを受け、あっという間に真っ青にっ
肩掛け鞄がガタンと床に着くのと同じタイミングで、その場に膝から崩れ落ちてガタガタ震えだしちゃったよ！