例えβに生まれても

31 撮影の王子様

23

俺は、父さんから話を聞くまで。
自分の初恋の相手は、保育園の先生だって思っていた。
すごく優しい先生で、父さんが兄ちゃんと迎えに来てくれるまで遊んでくれて。
一緒に家に帰ってくれないかなって、プロポーズみたいなことも言ったりした。

多分、記憶に残ってない母さんの影を重ねてたのかも。
周りの友達は、母親がよく迎えに来ていたし。
自分だけ違うのが寂しかったんだと思う。

そのあとは、近所で一緒に遊んでいた兄ちゃんと同い年の女の子で、あとは小学校で一緒のクラスだった女の子。

それから先は・・・途切れちゃって。
男友達と好きな子の話になっても、一緒に騒げなかったんだよね。
クラスのあの子が可愛いって言われたら、そうだねって頷くことは出来たんだけど。
自分が好きだなぁって思える子はいなかったんだ。

好きな子が誰かを聞かれて、正直になかなか出来ないんだって話したら。
｢梅田のくせに、理想が高いんじゃねぇの｣って笑われていた。

でも、ね。

よくよく考えたら、俺が清人様の遊び相手に選ばれてからなんだよ！
好きな女の子が出来てないのっ
そこに気付いちゃったら、ね。
コレって、コレって.....はわわぁっって！

俺、清人様が近くにいてくださるから、周りがどんなに｢あの子が可愛い｣って騒いでいても同じように可愛いって思えなかったんじゃないかな、って。
可愛い以上に、綺麗で何でも出来て俺にはすごく優しい清人様が居てくださったんだもん！