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31 撮影の王子様
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「どうなってるんだ?」
清人様の声に、低く抑えていても苛立ちが含まれたのがわかる。
ビクッと俺の身体が無意識に震えたら、清人様は俺の足の上に置いていた手を「ごめんね」と言ってるみたいに軽くトントンと指先で叩いて。
そのあと、ゆっくり深呼吸して落ち着いてくださった。
ずっと優しい清人様しか見ていなかった俺には、怖い清人様の免疫がなくてビクビクしちゃうんだよね。
俺もその隣で「はぁ~」って息を吐いたよ。
「元々、広報企画部が仮契約で押さえていた女性モデルがいて。
一人の出演でCM構成もされていたのよ。
そこに、普段携わらない畑違いの研究開発部の私がちょうど使えそうな内容だったし、横入りさせた形で清人と遥馬さんを推して上層部の許可は降りた流れがあって........」
「それでも、一度は俺とハルで通っていたんだろう?
菊川物産と本契約を済ませた後に、仮契約の話が何故出てくるんだ?
内々のゴタゴタを本番に持ち込むなんて、最悪な会社だな」
清人様は、お姉さんの話を最後まで聞かずにバッサリと切ってしまった。
契約とかはよくわからないけど、珍しいことが起こってるのかな?
「これに関しては、釈明の余地がないわ」
頭を下げるお姉さん。
でも、もとはと言えば、俺が清人様の画像を見てしまったせいで。
お姉さんは、俺が清人様の信者の皆さんから危害を加えられないようにって、わざわざCMで見せつける計画まで立ててくださってたんだ。
俺の方が申し訳なくて、身体を縮めて座り直した。
清人様の声に、低く抑えていても苛立ちが含まれたのがわかる。
ビクッと俺の身体が無意識に震えたら、清人様は俺の足の上に置いていた手を「ごめんね」と言ってるみたいに軽くトントンと指先で叩いて。
そのあと、ゆっくり深呼吸して落ち着いてくださった。
ずっと優しい清人様しか見ていなかった俺には、怖い清人様の免疫がなくてビクビクしちゃうんだよね。
俺もその隣で「はぁ~」って息を吐いたよ。
「元々、広報企画部が仮契約で押さえていた女性モデルがいて。
一人の出演でCM構成もされていたのよ。
そこに、普段携わらない畑違いの研究開発部の私がちょうど使えそうな内容だったし、横入りさせた形で清人と遥馬さんを推して上層部の許可は降りた流れがあって........」
「それでも、一度は俺とハルで通っていたんだろう?
菊川物産と本契約を済ませた後に、仮契約の話が何故出てくるんだ?
内々のゴタゴタを本番に持ち込むなんて、最悪な会社だな」
清人様は、お姉さんの話を最後まで聞かずにバッサリと切ってしまった。
契約とかはよくわからないけど、珍しいことが起こってるのかな?
「これに関しては、釈明の余地がないわ」
頭を下げるお姉さん。
でも、もとはと言えば、俺が清人様の画像を見てしまったせいで。
お姉さんは、俺が清人様の信者の皆さんから危害を加えられないようにって、わざわざCMで見せつける計画まで立ててくださってたんだ。
俺の方が申し訳なくて、身体を縮めて座り直した。
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