例えβに生まれても

31 撮影の王子様

6

｢なに？
顔が真っ青なんだけど、車酔い？｣


スタジオの地下駐車場に入ったら、駐車場から建物入口繋がる場所で下ろされた。
入り口には、警備員さんが二名居てね。
ちょうどその真ん中。
ガラス扉の前で、薄水色のスーツを着たお姉さんがファイルを手にして立っていた。

約束の時間より15分早く着いたんだけど、もっと前から待って居られたのかな。

車から先に出た俺の顔は、酷かったみたいだ。
俺の顔を一瞥したお姉さんは、心配と言うより、イラッとされていた。
｢もうこれ以上の問題は要らないんだけど？｣って顔に書いてますよ.....


｢だ、大丈夫です｣

｢そう、それなら良いわ。
に、しても、もう少しまともな格好はなかったの？
会社の秋のイチオシ商品だから、社長も会長も来て....わかったわよ、黙るから威圧してこないで｣


俺の後から出てきた清人様に、両手をあげてお姉さんは降参ポーズ。
α同士の、俺にはわからないフェロモンの格付けとかされたんだろうか？

清人様の方を振り向くか、どうか。
見たらドキドキしちゃうけど、気になるから迷っていたらね。

清人様の腕が、避ける間もなく俺の腰を掴んでその胸に引き寄せられてしまったよ！