例えβに生まれても

30 脅威の王子様

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突き飛ばすみたいな感じで離れたから。
清人様は、座っていたソファーの背もたれに沈んで、その腕が宙を滑って。
俺は、逃げ場所がどこがいいのかわからなくて。
二、三歩後ろに下がって迷いながら周りを見渡したら陽太様と目が合った。


「よ、陽太様ぁっ」


胸を押さえながら、涙混じりの情けない声で名前をお呼びしたら。
苦笑いしながら、チョイチョイと手招きして貰えたからね。
陽太様の隣に、清人様に捕まる前に走ったよ。

あぁ、もぅ、なんで自分から清人様に甘えちゃったんだろうっ
清人様、ヒーローお面つけていても素敵すぎるのが滲み出ていたよぉ。
し、心臓が、ドキドキして痛いっ

陽太様が、端に寄ってくださり。
一人掛け用のソファーに出来た隙間に入らせて貰ったよ。

でも、怖くて足元しか見えない。
逃げてきた方向から、清人に見られてる気がするっ　
凄く凄く、見られてる気がするっ


｢ハルちゃん、暫く清人と一緒にいなきゃならないけど、そんなんで大丈夫か？
まぁ、大丈夫じゃなくても、慣れて貰うしかないんだけどさ｣


コソコソ耳元で話されて、うぅっと喉奥に言葉が引っ掛かって出てこない。
大丈夫、な、わけないよ......