例えβに生まれても

30 脅威の王子様

5

｢・・・まぁ、そうなるわなぁ｣


陽太様は、力無く言葉を吐いた。
首を擦っていた手を止めて苦笑い。
次の言葉が続かなくて、沈黙に包まれる。

最初に沈黙を破ったのは、清人様と俺達のちょうど間に立っていた澪様。
陽太様の後ろで固まったままの俺をチラッと見て。
腰に手を当て。
サクッと言われた。


｢お前の顔が、βには綺麗すぎて直視できないんだろ。
以前は清人のフェロモン漬けで、ハルちゃんの感度が狂わされてたんだ。
今はリセットされてまともに見えてる。
しかも、番を迫られてる相手なら、尚更直視もできない。
だろ、陽太？｣


うわぁぁああああーーーーーっ
澪様っ、澪様っ、澪様っ
陽太様に向けた、スッゴい得意満面な笑顔にもビックリしましたが。

さっき、トイレでこそこそ陽太様と出した結論。
恥ずかしすぎるから、絶対理由は伏せてくださいってお願いして。
βの立場で考えられない自己中αには、気付かれないさって陽太様から太鼓判貰ったのにっ

なんで、わかっちゃって、しかも喋っちゃうんですかっっ