例えβに生まれても

27 流出の王子様

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コンパクトな白のカバンからスマホを取り出したお姉さんに、画像検索をしてもらう。
お姉さんは、αだし、18才未満は解除されてるだろうし。

『菊川清人』

ただ、名前を入れてもらうだけで良かった。
小さい頃から今に至るまで、あっという間にネットの海に散らばった清人様が集められる。
お姉さんは、初めに出てきた画像が大学っぽい建物とか、公園っぽい緑を背景に。
無表情の清人様と一緒に、同世代の笑顔の誰かが歩いているものばかりだったから不思議そう。
βも見れる画像しか、今は検索されてないみたいだ。


｢これが何？
ただの盗撮が上げられてるだけよ？
こんなの、昔からでしょう？｣

｢その....俺のスマホ、菊川家から支給されているからα専用サイトも見れて...年齢制限も大丈夫になったから、あの、イロイロ見れちゃって｣


そこまで話すと、ぼんやり俺を眺めていたお姉さんの焦点が俺が言いたいことに思い当たったみたいでピタッと合った。