例えβに生まれても

23 後悔の王子様

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｢清人様、あのね......｣


瞼を閉じて、凍てつく殺気を放っていた清人様を思い浮かべる。

本当に、本当に、怖かった.....
思い出しただけなのに、背筋がゾクッ
指先から体温が奪われちゃうよ。
あのときの、鋭い清人様の瞳、俺の心に突き刺さってます。

はぁ～と、無意識に止めていた息を吐き出して。


｢そんなに、追い詰めないでくださいよ...｣


今の気持ちを素直に声に出す。

番には、うん、多分、このままだと.....俺は、その、なっちゃうと思うんですよ？
清人様に二度と会えなくなるのは、もう耐えられないんです。

Ωになったら、清人様の番決定、なんて。
澪様と陽太様のような関係に、清人様と俺がなれるかもしれないなんて。
そんな、俺が一生分の運を使い果たしても手に入れられない特別なポジションを用意されていたら。

グラッて。

グラグラグラッて、全く揺れないわけ、ないじゃないですか？
清人様が好きだって言ってくださってるのに、揺れない人間なんていないですよ！

それに。
このままの状態をずっと続けて、電話でお話したり、安全な距離を保ってたまにお会いしたい、なんて。
そんな俺に都合が良いことは通らないって、わかってるんですよ？

でもね....