例えβに生まれても

21 試験の王子様

10

『ハル、無言は肯定と言うことか？』


清人様の言葉の端々に、刃を含んだ殺気が込められていて。
こんな声で名前を呼ばれたことは、一度もなくて。
あまりの、あまりの、恐怖に、血の気が下がって、身体から自由が無くなって.........



シャーーー・・・・・



流れ出る水音と同時に、太股を濡らす生暖かい液体。
握っていた手ごとシャツにシミが広がっても、止められなくて。


｢.......う、うぅ～っ、ひぅっっ...ヒック....ヒック.....｣


清人様の金縛りを、恥ずかしさが突き抜けて粉々に砕く。
俯いた視界に広がる、自分の下半身の惨状に涙と嗚咽が止まらない。

いつも電話をする前に、トイレに行くのは日課だったし。
お尻の下には、バスタオルを敷いていたから、量は少ない、少ない、けど。

この年で、漏らすなんてっっ
しかも、清人様の前で漏らすなんてっっ
消えてなくなりたいっっ