例えβに生まれても

三日月

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12 疑惑の王子様

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清人様は、その誰かと俺を勘違いして。
遊び相手に選ばれてから、俺にずっと優しくしてくださっているのも間違い......?

ズキッ

胸が、抉られたみたいに痛み出す。

誰にも見せない、俺にだけ向けられる笑顔も、甘い声も。
今みたいに、こうして優しく抱き抱えてくださるのも。

全部、全部、他の誰かの、もの。

ズキズキ、ズキズキ、何度も開きそうになる度に無理矢理蓋して閉じ込めていた傷が、ビリビリ開いてしまう。
...考えたことが、無かったわけじゃない。
俺なんかが、なんでこんなに清人様に特別扱いされるのか。

やっぱり。

やっぱり、誰かと間違われていたんだ。

だって、だって、たった今聞いてしまった。
清人様の話された俺は、俺のことじゃない。
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