例えβに生まれても

10 叱責の王子様

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俺がこの四月から進学した高校は、通っていた中学に隣接している市立高だ。
通学距離は以前と変わらない。
俺の足で歩いても、30分くらいかな。

自転車でも良いんだけど、その、いつか清人様が帰って来られたら。
また、迎えに来てくださるんじゃないかなと待っていたので。
俺は、清人様が現れなくなってからもずっとこの道を歩いてたんだよね。

会えなかった時間は、凄く長く感じていたのに。
こうしていると、なんだかあっという間だったのかなって錯覚しそう。
清人様のいない時間より、一緒にいる時間の方が俺には大事だからかな。

絡めた指を自分の方に引き寄せた清人様は、唇を寄せて俺の中指の爪にキスをした。


｢自分の気持ちにもっと早く気付いていたら、中学も一緒に歩いてゆっくり通ったのにな｣


......えぇっ？！