例えβに生まれても

8 誘惑の王子様

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｢ねぇ、ハル。
変異種Ωは、無理なことでも酷いことでもないんだよ。
人口1%にも満たない希少な一部を除いて、αβΩの三種類の遺伝子を今生きてる人間は全部内包していてね。
必要な条件を揃えて、αやβの中に眠るΩ遺伝子を表層に引き上げてΩに書き換える、ただそれだけのことなんだ｣


ただそれだけのこと、じゃ無いですよっ
ベット脇に座らされた俺は、両手をガッチリ握られ清人様の話を聞き続ける。
素晴らしいことだろうと、うっとり話す清人様に、途中で口を挟める筈がない。


｢遺伝子の書き換えで、数日高熱が出るけどね。
治まってしまえば、あとは何も問題はないから心配しないで。
発情期が来る十代後半以降に書き換えたαが近くにいれば、変異種Ωは普通に発情期を迎えることが出来るから。
特別なにかをする必要もないんだよ｣


穏やかな口調とはうらはらに、清人様の瞳は熱を含んでいて。
まるで未来は確定しているんだと、俺に迫ってきているみたいで怖すぎますっ

し、心配しますよっ
熱が下がったらΩになってるとか、大問題じゃないですかっっ
普通に発情期が来るとか、それ、普通じゃないですよっ