例えβに生まれても

2 御屋敷の王子様

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｢ハルマ、気分が悪いの？｣


こてんと首をかしげ、一生懸命背伸びしながら俺に向かって両手をあげる倭人様。


｢いえ、大丈夫ですよ｣


膝を折り、その手に顔を預ける。
暖かく小さな指先が、掌が、冷えていた頬に触れる。
｢良かった｣と、瞳を細めてニッコリ笑う倭人様。
見る者の気持ちを明るく変える笑顔に、俺もつられて頬が緩む。


｢ハルマ、俺の部屋に新しいベットが来たんだ。
見に来てくれる？｣


その言葉が、額面通り自慢したいのではなく、居心地が悪いこの部屋から出るための口実に誘ってくれているのがすぐにわかる。
倭人様が俺を見る目が、まだ心配だと揺れているから。