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FIRST GAME
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こんな顔も普段から出来るのかと緊張した面持ちの若松の横顔を眺めて進む。
コイツの色素の抜けた髪に両耳ピアスも見慣れてきたな。
俺がここの生徒会長をしていたときなら、だらしない制服も含めて即刻改善を求めている格好だが、卒業してからたった四年で生徒の半数以上がこんな感じに変わっていた。
特にこの若松は、小学生からサッカー天才少年として全国区の有名人。
毎年U―18の代表選手に招集されクラブチームにも属している。
来年3月の卒業後進路も、早々に海外チームが名乗りを上げいて職員室も盛り上がっていた。
部室の鍵は開けてあったらしく、若松がノブに手をかけるとそれは簡単に開いた。
ブワッ
開けた途端、内側から籠もっていた空気が押し寄せてくる。
すえた汗の匂いと泥臭さになんとも言えない発酵臭。
「ゲーッ、ゲーッ」と堪らず両膝に手を付き餌付く。
なんだ、これはっ
一体いつから掃除していないんだっ
俺の在学中は、毎年3月に部室の定期検査があったぞ。
息を吸えば餌付き、息を吐いても餌付き、息を止めても鼻に残った匂いに餌付く。
こんな中に俺を入れるつもりでいたのか?!
「え、え?
先生、どうしたんだ??」
驚いているだけで原因がわかっていない若松。
その鼻は機能していないのか?!
なんとか合間に声を振り絞り、「ま、窓・・・か、んきぃ」と指示すると通じたらしく部室に入った若松がガラガラ窓を開ける音がした。
朝ご飯、抜いていて良かった・・・絶対吐いてたぞ、ひどい悪臭だっ
「そこまで臭うかなぁ」と若松はボヤいているがそこまでを突き抜けているっ
涙目になりながら手を引かれ、ヨロヨロ匂いが緩和された部室の椅子に座らされたが顔を上げる気力も無いぞ。
「俺の茶、飲む?」
「くれ」
口の中も喉の奥も気持ち悪くて仕方ない。
今日一日サボって寝込みたいレベルだ。
ロッカーの開閉音とパチンと恐らくマグボトルのボタンを押す音。
わざわざ飲みやすいように開けてから渡してくれるのか。
クラブチームでは、いくつも年の離れた選手と絡むことが多いからな。
気遣いも鍛えられたんだろう。
俯いたまま早く寄越せと手を伸ばすが、掌に何も触れてこない。
「おい、くれるんじゃな・・・んむ??」
仰いだすぐそばに迫る若松の顔。
避けるより早く顎を掴まれ、タコのように尖らせた唇にブチュウッと口を塞がれた。
ぬわぁっっ、何するんだっっ
異様な行動に目を見開く。
顎から離れた指が、そのまま頬を挟むようにして掴まれ口を開けさせられた。
抵抗する間もなく、若松の口から冷やされた麦茶が流れ込む。
ゴクリ
喉の気持ち悪さが何より耐え難かった俺は、思わずそれを飲み込んで・・・いや、飲んでる場合かっ、飲まされてる場合かっ
いくら気分が悪くても、自力で飲めるわっ
コイツの色素の抜けた髪に両耳ピアスも見慣れてきたな。
俺がここの生徒会長をしていたときなら、だらしない制服も含めて即刻改善を求めている格好だが、卒業してからたった四年で生徒の半数以上がこんな感じに変わっていた。
特にこの若松は、小学生からサッカー天才少年として全国区の有名人。
毎年U―18の代表選手に招集されクラブチームにも属している。
来年3月の卒業後進路も、早々に海外チームが名乗りを上げいて職員室も盛り上がっていた。
部室の鍵は開けてあったらしく、若松がノブに手をかけるとそれは簡単に開いた。
ブワッ
開けた途端、内側から籠もっていた空気が押し寄せてくる。
すえた汗の匂いと泥臭さになんとも言えない発酵臭。
「ゲーッ、ゲーッ」と堪らず両膝に手を付き餌付く。
なんだ、これはっ
一体いつから掃除していないんだっ
俺の在学中は、毎年3月に部室の定期検査があったぞ。
息を吸えば餌付き、息を吐いても餌付き、息を止めても鼻に残った匂いに餌付く。
こんな中に俺を入れるつもりでいたのか?!
「え、え?
先生、どうしたんだ??」
驚いているだけで原因がわかっていない若松。
その鼻は機能していないのか?!
なんとか合間に声を振り絞り、「ま、窓・・・か、んきぃ」と指示すると通じたらしく部室に入った若松がガラガラ窓を開ける音がした。
朝ご飯、抜いていて良かった・・・絶対吐いてたぞ、ひどい悪臭だっ
「そこまで臭うかなぁ」と若松はボヤいているがそこまでを突き抜けているっ
涙目になりながら手を引かれ、ヨロヨロ匂いが緩和された部室の椅子に座らされたが顔を上げる気力も無いぞ。
「俺の茶、飲む?」
「くれ」
口の中も喉の奥も気持ち悪くて仕方ない。
今日一日サボって寝込みたいレベルだ。
ロッカーの開閉音とパチンと恐らくマグボトルのボタンを押す音。
わざわざ飲みやすいように開けてから渡してくれるのか。
クラブチームでは、いくつも年の離れた選手と絡むことが多いからな。
気遣いも鍛えられたんだろう。
俯いたまま早く寄越せと手を伸ばすが、掌に何も触れてこない。
「おい、くれるんじゃな・・・んむ??」
仰いだすぐそばに迫る若松の顔。
避けるより早く顎を掴まれ、タコのように尖らせた唇にブチュウッと口を塞がれた。
ぬわぁっっ、何するんだっっ
異様な行動に目を見開く。
顎から離れた指が、そのまま頬を挟むようにして掴まれ口を開けさせられた。
抵抗する間もなく、若松の口から冷やされた麦茶が流れ込む。
ゴクリ
喉の気持ち悪さが何より耐え難かった俺は、思わずそれを飲み込んで・・・いや、飲んでる場合かっ、飲まされてる場合かっ
いくら気分が悪くても、自力で飲めるわっ
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