俺の番クン

三日月

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俺の番クン

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「やっと来ましたっ」


郵便の知らせに、ソワソワ落ち着かない暁が扉の向こうで叫んでる。
バタバタと足音を立てて玄関に向かったんだろうけど、余裕が全くない俺はベットの中で息も絶え絶え。
暁の服をクローゼットからかき集め、何度も何度も作り直した巣の中で丸まり訪れをひたすら耐えて待つ。

抑制剤無しの発情期なんて、いつ以来?
思い出そうにも、出てくるのは暁のことばかりで泣けてくる。
なんでここに来てくれないんだ。
俺の巣が下手だから選んでくれないのか。
涙で視界が歪んで悲しみで魂が潰れそうだ。

暁16歳の誕生日に初めて抱かれ、一生懸命に自分の欲を抑えて触れてくる拙さに心が震えてどうしようもなかった。
この世にこんなに愛しい存在が居るんだなと、涙も声も止まらなくて暁に心配をかけてしまったけれど、与えられる痛みも、性急な動きに振り回されることにも好きな気持ちがどんどん増長されて一回でクタクタに疲れ果てた。
こんなにこんなに暁のことが好きだったのかと、自分でも呆れるくらいに変えられてしまった。

自分から、次の発情期に番にして欲しいと申請用紙を書いて渡して。
驚き過ぎて声も失った暁が、可愛くて何度も「好きだよ」と告げていた。

みなみに言ったら、「さすが十年に一人しか現れない相性だね」と納得された。
俺は、身体や遺伝子の相性が良かったから、自分が変わったんだとは思ってないんだけど。
説得力が無いと、和平と凛太郎には一刀両断。
暁にまで複雑な顔をされたときは凹んだ。
自分が年甲斐もなくこんなに愛を囁やけるようになったのは、毎日毎日言葉じゃなく行動で俺に好きだと示してくれた暁がいたからなのに。
ただ、それに気づいちゃいけないと思い込もうとしてたんだ。

時を急ぐノックの後、やっと暁が来てくれた。
ブワッと高まる発情フェロモンに、暁の牙が軋んで俺に近づいてくる。
俺も暁も、お互いの姿しか映ってない。
求めて触れて愛して欲しい。
魂が求める俺の番。

どうか、その牙で永遠の証を刻んで。
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