35 / 36
単話 『千代子とチョコ(バレンタインデー話)』
(4/5)※
しおりを挟む
デザートビュッフェににこにこしている千代子が可愛い。
いつもの千代子だって可愛い。
つまり全部可愛かった。
その日の夜。
明日も休みの二人は一つのベッドの中にいたがお風呂上りの千代子の耳元にはもうピアスは無い。帰って来てからもお風呂に入るまでずっと着けていてくれたその耳の柔らかい所を撫でたり、摘まんだりしている司に千代子は次第にとろんととろけてしまう。
昼間、チョコレートフォンデュも出来ると知ってにこにこしながら滑らかなチョコレートソースに舌鼓をうっていた千代子だったが今は司の情熱にとろけさせられていた。
くすぐったいような、不思議な感覚。
恥ずかしそうに視線をずらしている千代子の首筋からその柔らかい耳たぶにかけての美しいラインを何度も撫でる司。お風呂に入るまでずっとピアスを着けていてくれた事も、あの時店員に申し出てくれた事も本当に嬉しかった。
きゅうと身を縮ませている千代子の左手を取り、今度はすりすりとお揃いの指輪がある薬指を撫でていれば「つかささん、それ……」とどうやらスキンシップのつもりだった行為がもっと熱を含んだ愛撫に近い物になってしまっているのだと言われてしまう。
司にとっての千代子は小さくて柔らかいから、いつまでも触れていたくなる。
・・・
考え得る、持ち合わせている全ての優しさを千代子に捧げる司が少し苦しそうにしながら自分の中に入って来るのを感じている千代子は深く息を吐き、どうしてもぎゅうと締め付けてしまうのを緩めようとするが上手く行かない。
「ふ、う……っ」
それが司には苦しそうに見えてしまったのか額を撫でられて、また耳たぶを少し。
「ひ、あ」
すっかり気に入ってしまったらしい司に眉を寄せて堪えてもぞわぞわとした小さな感覚はあっという間に全身に伝わって、足の先まで震えてしまう。
ごく普通に交わるにしても一回り違うような体格、千代子の縋りつくような仕草を受け入れて体を密着させる司は昼から感じていた愛おしさを発散するかのようにそのまま深くまで千代子を愛そうとする。自分の持つ強い衝動は今はもう、千代子の為だけにある。
傷付けたりしない、ただ愛する為にある。
「ちよちゃん」
優しく呼んでくれる名前に千代子は司の素肌に立てていた爪の先の力を抜いて、二人だけの秘密の時間を共有する。
司の持つ墨色と、千代子の素肌の色が重なり、熱を持つ。
探るように深く愛してくれる司に心も体も甘やかされ、離してくれそうにない重みも心地いい。
擦り合った唇から不思議と感じる甘さも束の間、深い繋がりは互いの心をしっとりと濡らして……それ以上の事を求めてしまう。
少し前に出るように体勢を整えた司の肩口の皮膚に唇を寄せる千代子の可愛い悪戯心が最近、上手になってきている気がした。ちゅ、と短くしか吸えなかったのに柔らかな唇はちゅう、といつもよりきつく、赤い痕を残そうとしている。
いつも司の真似をして試してみてはちゅ、と小さな音が立つだけだったが今日は皮膚を吸われ、鈍い痛みのような刺激を司は感じ取る。千代子は強めに吸えたものの「んんっ」と小さく呻いた後にやっぱり苦しかったのか大きく息をしている。そんな彼女の姿に司の欲が増す。
「ちよちゃん、少し上手になった?」
ふ、と笑って沸き立つ愛欲を流した司は嬉しそうな、恥ずかしそうな千代子の下腹部の敏感な部分を押し潰すように少し腰を動かし、そのまま喘いでしなぐ背を抱き込んでしまう。
耳元にある吐息交じりの甘い声を受けながら大切な千代子を抱いていると心が満たされるどころか、気持ちが溢れてしまう。
それを掬って、宝物のように胸に抱いてくれるのが千代子だった。
優しくて、甘くて、傍に寄り添ってくれる。
揺すればくぷ、くぷと音がする。
ぴたりと寄り添って、その衝動を受け止めている美しい千代子も限界らしく、司は自分の腕を掴んでいた爪の先が立てられるのを感じて体の奥底から溢れ出てしまった熱情を迸らせた。
「や、あ……っ、あ」
奥歯を噛んだ司と眉を寄せて涙を滲ませた千代子。
司の次第に脱力していく体をぎゅっと抱き締めて受け止める千代子はいつにも増して司を胸に強く抱く。
体は熱くて、心臓はどきどきしている。
「汗かいちゃった」
彼女にとっては何気ない言葉だったのだろうが砕けた言葉づかいになっている千代子に危うくまた欲が膨らみそうになる司は「それなら冷えないようにしないとね」と心の中では少々焦りながら素肌の千代子に掛ける物を、と厚手のバスローブを引き寄せる。
いつもの千代子だって可愛い。
つまり全部可愛かった。
その日の夜。
明日も休みの二人は一つのベッドの中にいたがお風呂上りの千代子の耳元にはもうピアスは無い。帰って来てからもお風呂に入るまでずっと着けていてくれたその耳の柔らかい所を撫でたり、摘まんだりしている司に千代子は次第にとろんととろけてしまう。
昼間、チョコレートフォンデュも出来ると知ってにこにこしながら滑らかなチョコレートソースに舌鼓をうっていた千代子だったが今は司の情熱にとろけさせられていた。
くすぐったいような、不思議な感覚。
恥ずかしそうに視線をずらしている千代子の首筋からその柔らかい耳たぶにかけての美しいラインを何度も撫でる司。お風呂に入るまでずっとピアスを着けていてくれた事も、あの時店員に申し出てくれた事も本当に嬉しかった。
きゅうと身を縮ませている千代子の左手を取り、今度はすりすりとお揃いの指輪がある薬指を撫でていれば「つかささん、それ……」とどうやらスキンシップのつもりだった行為がもっと熱を含んだ愛撫に近い物になってしまっているのだと言われてしまう。
司にとっての千代子は小さくて柔らかいから、いつまでも触れていたくなる。
・・・
考え得る、持ち合わせている全ての優しさを千代子に捧げる司が少し苦しそうにしながら自分の中に入って来るのを感じている千代子は深く息を吐き、どうしてもぎゅうと締め付けてしまうのを緩めようとするが上手く行かない。
「ふ、う……っ」
それが司には苦しそうに見えてしまったのか額を撫でられて、また耳たぶを少し。
「ひ、あ」
すっかり気に入ってしまったらしい司に眉を寄せて堪えてもぞわぞわとした小さな感覚はあっという間に全身に伝わって、足の先まで震えてしまう。
ごく普通に交わるにしても一回り違うような体格、千代子の縋りつくような仕草を受け入れて体を密着させる司は昼から感じていた愛おしさを発散するかのようにそのまま深くまで千代子を愛そうとする。自分の持つ強い衝動は今はもう、千代子の為だけにある。
傷付けたりしない、ただ愛する為にある。
「ちよちゃん」
優しく呼んでくれる名前に千代子は司の素肌に立てていた爪の先の力を抜いて、二人だけの秘密の時間を共有する。
司の持つ墨色と、千代子の素肌の色が重なり、熱を持つ。
探るように深く愛してくれる司に心も体も甘やかされ、離してくれそうにない重みも心地いい。
擦り合った唇から不思議と感じる甘さも束の間、深い繋がりは互いの心をしっとりと濡らして……それ以上の事を求めてしまう。
少し前に出るように体勢を整えた司の肩口の皮膚に唇を寄せる千代子の可愛い悪戯心が最近、上手になってきている気がした。ちゅ、と短くしか吸えなかったのに柔らかな唇はちゅう、といつもよりきつく、赤い痕を残そうとしている。
いつも司の真似をして試してみてはちゅ、と小さな音が立つだけだったが今日は皮膚を吸われ、鈍い痛みのような刺激を司は感じ取る。千代子は強めに吸えたものの「んんっ」と小さく呻いた後にやっぱり苦しかったのか大きく息をしている。そんな彼女の姿に司の欲が増す。
「ちよちゃん、少し上手になった?」
ふ、と笑って沸き立つ愛欲を流した司は嬉しそうな、恥ずかしそうな千代子の下腹部の敏感な部分を押し潰すように少し腰を動かし、そのまま喘いでしなぐ背を抱き込んでしまう。
耳元にある吐息交じりの甘い声を受けながら大切な千代子を抱いていると心が満たされるどころか、気持ちが溢れてしまう。
それを掬って、宝物のように胸に抱いてくれるのが千代子だった。
優しくて、甘くて、傍に寄り添ってくれる。
揺すればくぷ、くぷと音がする。
ぴたりと寄り添って、その衝動を受け止めている美しい千代子も限界らしく、司は自分の腕を掴んでいた爪の先が立てられるのを感じて体の奥底から溢れ出てしまった熱情を迸らせた。
「や、あ……っ、あ」
奥歯を噛んだ司と眉を寄せて涙を滲ませた千代子。
司の次第に脱力していく体をぎゅっと抱き締めて受け止める千代子はいつにも増して司を胸に強く抱く。
体は熱くて、心臓はどきどきしている。
「汗かいちゃった」
彼女にとっては何気ない言葉だったのだろうが砕けた言葉づかいになっている千代子に危うくまた欲が膨らみそうになる司は「それなら冷えないようにしないとね」と心の中では少々焦りながら素肌の千代子に掛ける物を、と厚手のバスローブを引き寄せる。
1
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
チェルシーは何も知らない
下菊みこと
恋愛
ご令嬢が婚約者の浮気のおかげで、運命の愛に出会うお話。ざまぁは添える程度。
チェルシーはある日父に、あと三ヶ月で結婚予定の婚約者との婚約を破棄すると告げられる。なんでも、婚約者がチェルシーを裏切っていたことがわかったらしい。
これはそんなチェルシーの、次の婚約と愛のお話。
なお、父の報復は娘には内緒。チェルシーはこれまでも、これからも、報復については何も知らない。
小説家になろう様でも投稿しています。
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~
雨杜屋敷
ファンタジー
目覚めるとそこは異世界で、俺は道端でお布団にくるまっていた
思わぬ″状態″で、異世界転生してしまった俺こと倉井礼二。
だがしかし!
そう、俺には″お布団″がある。
いや、お布団″しか″ねーじゃん!
と思っていたら、とあるスキルと組み合わせる事で
とんだチートアイテムになると気づき、
しかも一緒に寝た相手にもその効果が発生すると判明してしまい…。
スキル次第で何者にでもなれる世界で、
ファンタジー好きの”元おじさん”が、
①個性的な住人たちと紡ぐ平穏(?)な日々
②生活費の為に、お仕事を頑張る日々
③お布団と睡眠スキルを駆使して経験値稼ぎの日々
④たしなむ程度の冒険者としての日々
⑤元おじさんの成長 等を綴っていきます。
そんな物語です。
(※カクヨムにて重複掲載中です)
【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない
かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が
シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。
女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。
設定ゆるいです。
出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。
ちょいR18には※を付けます。
本番R18には☆つけます。
※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。
苦手な方はお戻りください。
基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。
いつか君と共に生きていきたい【完結】
本野汐梨 Honno Siori
恋愛
※暴力・セックス描写があります。苦手な方はご注意ください。
刑事の西島 翔(にしじま かける)は、ヤクザの組員として潜入捜査を行なっていた。ヤクザとして過ごす日々に疲弊し、いつの日か本当の刑事の頃に持ち合わせていた良心ヤクザのように振る舞うようになっていた。
そんな日々に出会った、違法風俗店で働くアンに出会い、ボロボロのアンに自身を重ね、やがてアンに愛情を抱く。
いつの日か、アンの元に通い、日々のストレスを発散させるために、アンを肉便器として扱うようになる。
しかし、ヤクザになりきれず人の心を捨てきれない翔は、時折アンに優しく接し、いつか刑事に戻ることができたならアンと共に生きていこうと思い始める。
一方、アン自身も闇を纏った翔のアンニュイな魅力と時折掛けられる優しい言葉に魅了され、翔を大切に思い始めていた。
※この物語は全てフィクションです。
ラブハメパークは年中無休で営業中♡
桜羽根ねね
BL
大型複合施設、ラブハメパーク。
常識改変された世界での、らぶざまでエロコメでハッピーなひとときをお楽しみください。
以前短編集に投稿していたものを移行して、別のお話を追記しています。
何でも美味しく食べる方向けです!
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる