朝凪の口付け

妓夫 件

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気になる私の色と彼の形

7話※

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「前は陰んなっててよく見えなかった。  オマエの胸。 唇みてえな色…… 紅くて。 これ弄ったら、血みたいんなるかな」

彼の視線が痛い。
痛くって、隠そうとした私の手を、彼がやんわりと外す。

太い指先がその、紅いらしき頂点よりも薄い乳輪に触れ、指の間に挟む。
挟まれて卑猥に顔を出しかけた乳頭を、彼の息が撫でていく。

「あ…ん……ぁ…」

「嫌なんじゃねえの……オレだけとかは嘘か」

むしろ逆だよ、そう言いたかったけど、言葉が出なかった。
片胸をはだけて、彼の指が内部の芯を捏ねてくるたびに腰があがる。

私を支えたタクマさんの片腕が、背中から肩に移動する。
抱きすくめられると、どこか愉しげに目尻が流れた彼の瞳とぶつかった。

「昨晩は人のカラダ好きにしてくれたよなあ。 で、オマエって、責められたら途端に弱いのな。 ホラ早速、乳首立ててんじゃねえよ」

……仕返しのつもり?

それとも私これ、からかわれてるの。

また本気でのまれそうになっていた自分に、顔がますます火照ってくる。
そのまま腰を捻り、背中を向けてすり抜けようと思ったら、なぜだかタクマさんが後ろから体重をかけてきた。

「っや、ちょっ…っふざけ…っ」

露わになった背中に、濡れた舌が這う感触。

嘗めあげられて離れたと思ったら、次は肌に張りついた唾液を広げ。
かと思うと、細い舌先が思いがけず脇をくすぐり通り過ぎていく。

「……っ!…っ…ンッ」

ツツ、ツツツ…ツツっ……もどかしく運ばれる快感が、ゆるりゆるりと私の理性を剥がしていく。

「綾乃、止めるか。 返事は」

ただ自分の体を庇うように抱きしめ喘いでるだけの私が物足りないのか、タクマさんが言葉を欲しがってくる。
そんな彼はどこか子供っぽく、意地が悪くも思えた。

彼の名を呼ぶと、「なに?」と私の髪の隙間の耳元をくすぐる、低く奥底を震わすような、甘い声。

そんなのもう抗えない。

這い回る舌が、うなじにある髪を器用に掻き分け、うぶ毛の束を濡らしてく。

「止め…な……触っ…て…」

途切れ途切れに呟くと、彼がふ。 と、体を離した気配がした。 

こんなに体が火照ってるのに。
今度は吐息さえ触れてくれない。

そのくせに、「舐めてもいいんなら?」そんな風にのらりくらりと交換条件を増やしてく。

「っひど……っ」

とうとう泣きそうな鼻声で顔を伏せてしまった私の肩に、ふわりと優しく指先が触れる。
そのまま肩に手をかけて、上半身を仰向けにされた私の上に、タクマさんの揺れる前髪が見える。

「可愛がってんだけどな。 これでも目一杯」

そんな風に言って、くちゅり…と胸の先を口に含む。

緩やかな口付けのように。

合わさってきた粘膜は、私の感触を味わうみたいに移動する。
背中を浮かせた私が吐息と共にそれを受け入れると、まもなく求め始める。

「……何でもいい。 今のオマエに触れるのには理由が無いと、困る」

「ン、ん……ぁん」

弧を描きながら舌で圧し潰される乳頭は、今度は唇に食まれ。
唾液にぬめって逃げ出したら、捕まえて挟まれた指の先でお仕置きを受ける。

緩急をつけて、歯の間に閉じ込められた時でさえ、私の腰が悩ましげに揺れる。

「綾乃の体が見たかった。 ちゃんと、気持ちいいか」

私の足の間にぐっと差し込まれた彼の腿が、薄い何枚かの布を通しそこを撫で上げた。
……軽く擦りつぶされたかと思うと、小刻みに揺れてるのは私の方?

「気持ち、い、んっ……ぁ」

堪えられずに、彼の首や肩にしがみつく。

浅ましく硬い芯を押し付けて。

指で、舌で、歯で。
合わさる肌とその吐息で。
その間も、体中の突起を襲い続ける止まない愛撫。

「ぁあ、あ……っも、やっ…ぃいっ……!」

それに対し、これ以上ないというほどに応える私の体は透明な液を吐き出して。
完全に浮いてしまった腰を断続的に震わせ、果てた。

「……あ、はア…は…ぁ」

しばらくの間弛緩を繰り返しながら、ぼんやりと息を吐いていた。

左右に中途半端に開かれた、布切れの隙間の私の肌を、彼の視線が舐めている。

「ふ……美味そーなカラダ」

冷めない欲を帯びた眼差しで、私を見下ろすタクマさんは確かに男そのもので。
かと思えば、私の湿った額に労るキスを落とす。

私としては……しぶしぶながらも、今までの認識を改めざるを得なかった。

とはいえ、今まで私にとって神様だったタクマさんが、世界一の男性に変わっただけ。

触れるたびに、見られるたびに近くなる。


ねえ、今度は私にも見せて? そんなあけすけなお強請りを始めた私の頭を、今は胸に乗っけて撫でてるタクマさんが苦笑する。

「オマエは体治せ。 で、また朝に海見に行って、バカな話でもしてえかな。 今は」

「そうなの?」

かわされた気がして、頬を膨らませた私のほっぺたをむにっ、と彼がつまんだ。

「そんぐらい心配してるってこと」


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