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海へ
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いったい何時間たったんだろウ?
太陽がまぶしイ。日に照らされて、ボクのボディは熱を帯びル。
ローラーも擦り切れてしまいソウ。
ボクらのボディはもうボロボロ……
デモ、デモ! なにがなんでも行くんダ海へ、バッテリーが切れる前ニ、二台一緒ニ!
海へ、海へ、海へ、海ヘ────
あの約束、一緒に世界を見に行く約束は、果たされなくっても良かったんダ、君と一緒にいる限リ。
写真集で見た渓谷の花々、極地のオーロラ、田園風景、そして黄昏の世界に沈ム太陽──
花畑の中、ボクは花を摘み、君の頭にそれを飾っタ。
オーロラの下、二台でひとつのマフラーを巻いタ。
稲刈りの終わった田んぼで、可愛らしいスズメたちが落ち穂をついばむのを眺めタ。
そして黄昏に染まる君の頭部側面を、ボクは優しく、優しくなでタ。
ライブラリーの、片隅デ。
「ねぇインモ……」
ボクの上で、ワッキーがポツリと言ウ。
「どうして、ここまでしてくれるの?」
「なぜってボクハ──」
ただ、君といられればいいっテ、それダケ。
その時だ。
ミャア、ミャアと、微かな声が降ってくル。
目を上げると遠くに、あの日、写真集で見タ──
「ワッキー! あの、白い、ツブツブは、何ダ?」
「……あれはウミネコよ」
ワッキーはボクのアームをギュッとつかんダ。
「ウミネコっていうのは鳥の仲間で、鳥っていうのはね──」
ボクらの目の前に、オレンジ色の、巨大な水のかたまりがあっタ。
太陽がまぶしイ。日に照らされて、ボクのボディは熱を帯びル。
ローラーも擦り切れてしまいソウ。
ボクらのボディはもうボロボロ……
デモ、デモ! なにがなんでも行くんダ海へ、バッテリーが切れる前ニ、二台一緒ニ!
海へ、海へ、海へ、海ヘ────
あの約束、一緒に世界を見に行く約束は、果たされなくっても良かったんダ、君と一緒にいる限リ。
写真集で見た渓谷の花々、極地のオーロラ、田園風景、そして黄昏の世界に沈ム太陽──
花畑の中、ボクは花を摘み、君の頭にそれを飾っタ。
オーロラの下、二台でひとつのマフラーを巻いタ。
稲刈りの終わった田んぼで、可愛らしいスズメたちが落ち穂をついばむのを眺めタ。
そして黄昏に染まる君の頭部側面を、ボクは優しく、優しくなでタ。
ライブラリーの、片隅デ。
「ねぇインモ……」
ボクの上で、ワッキーがポツリと言ウ。
「どうして、ここまでしてくれるの?」
「なぜってボクハ──」
ただ、君といられればいいっテ、それダケ。
その時だ。
ミャア、ミャアと、微かな声が降ってくル。
目を上げると遠くに、あの日、写真集で見タ──
「ワッキー! あの、白い、ツブツブは、何ダ?」
「……あれはウミネコよ」
ワッキーはボクのアームをギュッとつかんダ。
「ウミネコっていうのは鳥の仲間で、鳥っていうのはね──」
ボクらの目の前に、オレンジ色の、巨大な水のかたまりがあっタ。
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