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大変
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今日のワッキーはいつもと違ウ。
本を開いても、ちっとも楽しそうじゃナイ。
頭部の光の点は、一直線に並んだまんま。
いつもみたいに、笑ってくれヨ!
「どうしたノ、ワッキー」
ワッキーはスリムな脚を交互に動かし、窓のそばまで行ってしまウ。
ボクもあわてて隣に並ブ。
彼方には、モクモクとした入道雲。知ってる、季節は今、夏なんダ。
「……今日はお別れを言おうと思って」
ワッキーはやがてこう言っタ。光の線が、悲しく歪ム。
ボクは言うべき言葉が見つからナイ。
「ワタシね、もうすぐスクラップにされるんだって。腋毛拾いって、あんまり需要がないみたい……」
「スクラップって、壊されるってコト?」
タイヘン、タイヘン……。
「そう……でもね、あなただけに言うんだけどね……」
そこで一度、言葉を切っタ。
「最後に、海を見に行くの……だから、今日でお別れ」
今までありがとう、と彼女は呟ク。
「ボクも行ク」
「ダメよ。巻き込むわけにはいかないわ」
「ボクも行ク!」
「何日かかるかわからない、たどり着かないかもしれない、途中で壊れちゃうかもしれない」
「約束したダロ、ボクも行ク!!」
ボクの旧式のハンドは、彼女の指を握りしめタ。
本を開いても、ちっとも楽しそうじゃナイ。
頭部の光の点は、一直線に並んだまんま。
いつもみたいに、笑ってくれヨ!
「どうしたノ、ワッキー」
ワッキーはスリムな脚を交互に動かし、窓のそばまで行ってしまウ。
ボクもあわてて隣に並ブ。
彼方には、モクモクとした入道雲。知ってる、季節は今、夏なんダ。
「……今日はお別れを言おうと思って」
ワッキーはやがてこう言っタ。光の線が、悲しく歪ム。
ボクは言うべき言葉が見つからナイ。
「ワタシね、もうすぐスクラップにされるんだって。腋毛拾いって、あんまり需要がないみたい……」
「スクラップって、壊されるってコト?」
タイヘン、タイヘン……。
「そう……でもね、あなただけに言うんだけどね……」
そこで一度、言葉を切っタ。
「最後に、海を見に行くの……だから、今日でお別れ」
今までありがとう、と彼女は呟ク。
「ボクも行ク」
「ダメよ。巻き込むわけにはいかないわ」
「ボクも行ク!」
「何日かかるかわからない、たどり着かないかもしれない、途中で壊れちゃうかもしれない」
「約束したダロ、ボクも行ク!!」
ボクの旧式のハンドは、彼女の指を握りしめタ。
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