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また翌日。今日も林は看護師に薬剤師を呼んでくれと頼んだ。それは午前中の事だ。
しかし、待てど暮らせど由衣子は来ない。
夕方の4時を回ったところで彼は薬局へ向かった。窓口から覗くと奥に由衣子が見える。置いてあるベルを鳴らすと、彼女は林に気づきハッとした表情を浮かべ、こちらへ駆け寄って来た。
「すみません、会議やら何やらでなかなか行けなくて……」
「いいよいいよ、忙しいんでしょ。今日から俺がこっちに来るから」
由衣子は困り顔になった。
「そんな訳には……。とりあえずそこに座りましょうか」
と、ロビーの椅子を指差す。
2人並んで腰掛ける。
「何か困ったことでもありますか?」
と、由衣子。すると林はポケットから栄養ドリンクを取り出した。
「これ飲もうと思ったんだけど、睡眠薬と一緒に飲んでいいの? 飲み合わせとかあるでしょ」
由衣子は成分表を見ながら答える。
「これ、添加物にアルコールが入ってますね、薬との飲み合わせが悪いです。それに寝る前に飲んだらカフェインのせいで眠れなくなっちゃいますよ」
「なるほど一晩中ギンギンになっちゃうんだね、わかった。明日飲む。それより電話番号教えてよ」
林はサラリと凄まじくキモい事を言った。
「あの、決まりで出来ないんです。あんまり困らせないで下さいよ」
林は由衣子の困った顔をもっと見たいと思った。
「つまり、俺がここの患者じゃなくなったら教えてくれるって事?」
「……」
由衣子はどう答えようか考えている。その薬局から白衣の男が顔を覗かせた。
「吉川さん西4階から電話!」
男が由衣子が患者と一緒なのも構わず叫ぶと、由衣子はこれ幸いと立ち上がった。
「慌ただしくてすみません、じゃ、また何かあったら伺います」
そう言って薬局に入って行った。林は夕食の時間までロビーから窓越しに由衣子を凝視していた。
しかし、待てど暮らせど由衣子は来ない。
夕方の4時を回ったところで彼は薬局へ向かった。窓口から覗くと奥に由衣子が見える。置いてあるベルを鳴らすと、彼女は林に気づきハッとした表情を浮かべ、こちらへ駆け寄って来た。
「すみません、会議やら何やらでなかなか行けなくて……」
「いいよいいよ、忙しいんでしょ。今日から俺がこっちに来るから」
由衣子は困り顔になった。
「そんな訳には……。とりあえずそこに座りましょうか」
と、ロビーの椅子を指差す。
2人並んで腰掛ける。
「何か困ったことでもありますか?」
と、由衣子。すると林はポケットから栄養ドリンクを取り出した。
「これ飲もうと思ったんだけど、睡眠薬と一緒に飲んでいいの? 飲み合わせとかあるでしょ」
由衣子は成分表を見ながら答える。
「これ、添加物にアルコールが入ってますね、薬との飲み合わせが悪いです。それに寝る前に飲んだらカフェインのせいで眠れなくなっちゃいますよ」
「なるほど一晩中ギンギンになっちゃうんだね、わかった。明日飲む。それより電話番号教えてよ」
林はサラリと凄まじくキモい事を言った。
「あの、決まりで出来ないんです。あんまり困らせないで下さいよ」
林は由衣子の困った顔をもっと見たいと思った。
「つまり、俺がここの患者じゃなくなったら教えてくれるって事?」
「……」
由衣子はどう答えようか考えている。その薬局から白衣の男が顔を覗かせた。
「吉川さん西4階から電話!」
男が由衣子が患者と一緒なのも構わず叫ぶと、由衣子はこれ幸いと立ち上がった。
「慌ただしくてすみません、じゃ、また何かあったら伺います」
そう言って薬局に入って行った。林は夕食の時間までロビーから窓越しに由衣子を凝視していた。
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