fの幻話

ちゃあき

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29.宿木

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「フィオナさま。扉のむこうはなにか様子がちがううみたいですよ」

「扉のむこう……」


 ウリカの言葉にフィオナは考える。

 この城の扉がどこか過去に通じているんだろうか。フィオナの経験によればシノムの祖父の生きた時代に。

 とにかく二人は食堂を出てまた明るい廊下にもどった。

 そこは二人の暮らす城とは調度や装飾の具合がなにか異なってみえる。


「……フィオナさま?」

「あっ」


 背後から声をかけられふりかえると、そこにはひさしぶりのアンネースの姿があった。

 もう夢とは思えない。
 実体をもった美しい姫君が二人をむかえた。


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