fの幻話

ちゃあき

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11. ねじれ

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□□□


「あっという間じゃないか、金の城まで」


 見た目は廃城だけどねとザラは遠慮なく見上げたシノムの城の感想をのべた。

 この中がいかに清潔で美しいかヒンスは知っている。

 大雨の中、真夜中に馬を馳せてきた。

 午前中にでも着けばいい方だと思っていた……——しかし蝋燭も燃え尽きないだろう短い間にここへ辿り着いてしまった。

 街で躊躇せず出てくればよかったなと、馬に乗りなれないザラでさえ余裕をみせたくらいだ。


「ザラ、私は以前ここに来たとき丸一日この森の中を彷徨ったんだ」

「……それは道に迷ったからではなく?」


 違う。確かに遠回りはしたが、それが原因では埋まらない時間の差がある。

 街と城の間で何かがねじ曲がる瞬間がある。

 それはあのシューベルグを女の悪魔だという老夫の話にも符合する。

 頭の上で大きな雷が光って、すぐに轟音が響いた。

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