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序 魔剣転生

2監禁

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 聖剣と共にクラリシス王国に出現した静間伊織は、手にした聖剣を禍々しい漆黒の魔剣に変えてしまう。
 目が覚めると服は簡素なワンピースのようなものを着せられ両手足は鎖で拘束され、椅子に座らされていた。
 ヴェルジークという王国の聖騎士に、城の地下牢に監禁され尋問を受けていた。ヴェルジークは甲冑姿ではなく軍服のような服装で、少し離れた位置に剣を持ったまま立っている。

「さて、もう一度名前を聞こうか」
「・・・静間伊織しずまいおり
「しず・・ま、いおーり」
「呼びにくいですか?伊織でいいです」
「い、おーり」
「・・・・イオでいいです」

 どこのお国かわからないが、外人さんには発音しずらいのだろうかと伊織は考える。友達から短くイオと呼ばれているので、ひとまず短くしてみた。

「ではイオ、歳は?」
「21歳」
「種族は?」
「え?」
「人間か、魔族か、獣人ではないようだが」
「どれかと言われれば、人間?」
「人間?まさか魔族との混血か・・・いやしかし魔力が感じられない」
「あの、ヴェルジークさんでしたっけ?ここはどこでしょうか。日本じゃないんでしょうか?」
「・・・」

 イオは1番重要な事を心配していた。もし自分が帰宅途中に事件に巻き込まれたとして、日本ではないとしたら生き延びれる確率が低くなるからだ。

「にほん、という地名は知らないが・・・ここは神なる創造の大地ィアーリウェア。中央大陸のクラリシス王国。偉大なるアーシア=レイド=クラリシス陛下と聖剣に守られし誇り高き地だ」
「・・・日本というか地球ですら危うい地名」
「お前はその、にほんという土地から来たのか」
「まぁ、そうですね。仕事帰りで飲んでて気が付いたら・・・このクラリシス王国に?なぜか裸で」
「なぜお前が聖剣と共に出現したかはわからないが、これは神の啓示と取るべきか」

 日本には神隠しというオカルトな話とかもあるので、もしかしたら自分はどこか別の世界に飛ばされたのではないかと脳裏によぎる。せめてもの救いは言葉が通じる事だった。
 それにしてもヴェルジークという騎士は悩む姿まで男前な容姿だなと、イオはマジマジと見た。すると視線に気が付いたのか、ラピスラズリの瞳と目が合う。

「わっ、目が合った」
「・・・紫の瞳は不吉の証というが、個人的には悪くはないな」
「え、ぁ、そうなんですか?生まれつき紫色で珍しがられはします。ヴェルジークさんは、宝石みたいに綺麗な青ですね。男前でスタイルいいし、騎士とかだしモテそう」
「それは口説いているのか」
「ええっ!いや、褒めてるんですけど」
「我が国では青は最も神聖な色なのだ」
「へぇ・・・あの、なんでそんなに近いんですか」

 いつの間にかヴェルジークは、イオの座っていた椅子の背に方手を置いて見下ろしていた。もう片方の手にはまだ剣が握られているので、伊織はこのまま斬られるのかと冷や汗が出てくる。

「お前を懐柔して魔剣を手に入れよ、もしくは聖剣に戻す方法をという陛下のご命令があるのだ」
「まさか、拷問・・・」
「拷問でもいいのだが、陛下は無傷でお前を手に入れたいようなのでな」
「ぁっ」

 脚の間に剣が忍び寄り、太腿を撫でた。そのまま足の付け根ギリギリまで服を捲られる。

「後ろは処女か?」
「しょ、処女って・・・」
「男女との性交の経験はあるのか?」
「な、ないっ・・・くぅぅ」

 イオは唇を噛んで、惨めに年齢イコール彼女いない歴を暴露した。男との経験なんてもってのほかだ。ちょっとヴェルジークをキッと睨んでみる。

「なんで教える必要あるんですか」
「陛下に献上する身体だ。大事があってはならないからな」
「・・・・は?」
「お前の尻の中まで調べ上げ、陛下を受け入れる従順な下僕になるまで躾けると言う事だ」
「無理だっ!!!」

 要はエロい身体に開発され、王様の靴を舐めたり人間椅子になる変態になるまで陵辱されろと言われているのだ。

「普通に魔剣を何とかしろ、って脅すだけでいいんじゃないんですかね!?」
「意志のある状態でそのリスクは高いだろう。魔剣を手にした瞬間斬りつけられては敵わないからな」
「いや、でも、ヴェルジークさんは騎士なんだから強いんですよね!」
「我が国で一、二位の剣の腕前を持つ私を弾き飛ばしたのは誰だ?」
「ヒィッ!オレですよね!」

 確かにイオは魔剣でヴェルジークを弾き飛ばした。この国で強いらしい騎士様を。
 こんな訳のわからない世界で色んなものを失いたくはないが、剣を持った相手には敵う気がしないためイオは大人しく従う。

「抵抗しないでくれてこちらとしても助かる。傷は付けたくないからね」
「う・・・」
「いい子にしていたら、なるべく痛くないようにすると約束しよう」
「男前な狼にちょっと噛まれた事にしておこう・・・うぅ・・・」

 ヴェルジークは剣を鞘に納めると、イオの髪をさらりと人撫でするのだった。
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