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二章
アル。初めての決闘(1)
しおりを挟むそうアルは早速やらかしてしまったのである。
参加許可の出ていなかった初めての剣術でアルは舞い上がってしまっており、また初めての実践訓練だった為力加減が出来ずに、アルと組んだ先輩の兵士をぶっ飛ばしてしまったのである。
それはもう、綺麗なアーチを描いて飛んで行ったそうだ。
それを目撃した人達の感想としては、
「人ってあんなに綺麗なアーチを描けるなんて知らなかった。人間にはまだまだ可能性がある。」
「空は今日も変わらず青かった。」
「隣に居て風を浴びただけで怪我をしたのが腹立たしい。」
等の感想を独自調査したカストはシルに報告したのであった。
その吹き飛ばされた兵士は運良く?綺麗に上空に舞った為、アルが受け止めた。その為、全身打撲の全治1ヶ月で済んだのだった。
その先輩は大男の先輩で人2人ぐらいであれば持ち上げることができるが、自身は持ち上げられた事がなかったらしい。その為アルにお姫様抱っこされた時には乙女のようになっていたと目撃談がある。
結果アルにやられた先輩は色んな意味でアルに好意を抱いたようだが、周りの見ていたものは、憧れか恐怖を抱いてしまったようである。そんな状況下では訓練がままならないという事で、わずか1日でアルはその部隊を首になってしまった。クビになったアルは、次は14部隊へと行くことになった。
14部隊でもアルの話は回っていたようで、アルは早速イカツイ先輩に話しかけられた。
「お前が15部隊の大男を吹っ飛ばしたガキか?なかなかやるじゃねえか。俺の子分にしてやってもいいぜ?しかし、こんな小さなガキに負けるなんてアイツは弱すぎだろ。俺とアイツどちらが強いのかって言われてたみたいだが、これではっきり分かったな。こんなガキに負けるようじゃな。」
と周りの取り巻きらしき先輩達と話、悪どい笑みでアルを見た。
しかし、強い、強くないはアルの興味にないので先輩をスルーした。アルにとっては今日こそ手加減をして剣を使えるようになる事の方がよっぽど大事だったのだ。
しかし、先輩はその態度が気に食わなかったようで、顔に血管が浮いている。
そしてアルに
「おい、調子に乗っているのも今のうちだ。世の中の厳しさ教えてやるよ。上手いこと強さをアピールしたようだが、それも今日でしまいよ。」
と、いつの間にか決闘するはめになってしまった。
14部隊のその先輩。実は来月からその腕を見込まれて第6部隊への昇格が決まっていた。そんな人と新入隊員が決闘とはどういうことだろうと、皆は不思議に思い第6部隊へ昇格するものの実力を見てやろうという者達が集まった。人が人を呼び凄い人数となった。
部隊は基本、その部隊数が少なくなればなるほど強く、そして有能ということになる。なので、2桁の部隊はあまり有能な人がいないということになる。15→1ということだ。
それと関係がないのが、カストの所属している医療部隊や、魔法専属部隊、情報管理部隊である。
始まる頃には大人数が観衆と化し、そこら辺の空いたスペースでは見れない人が続出してしまった。その為訓練終了後、訓練場で本格的に決闘をすることになったのだ。
アルの両親ズのシルとカストも新入隊員と聞き急いで駆けつけていた。
アルに決闘の事を2人は聞いたのだが、本人も良く理解していない様子が見て取れた。
どうやら先輩達に訓練の1つとして連れてこられたようだ。
14部隊の先輩は自分の実力を大観衆に見せつける良い機会だと思ったのだろう、気合が入っているのが見て取れる。
それに比べアルは最初から興味がないことだったので、競技場にいたアリの観察をジーっとしていた。
賭ける人まで出てきて、人気は当然14部隊のイカツイ先輩に集中した。しかし、大穴を狙ってアルに賭ける者達もいた。アルの両親ズであるシルとカストもアルにこっそり賭けたことは秘密である。
いざ開始のゴングが鳴った。
イカツイ先輩は模擬剣。いやむしろ棍棒と言った方が正しいだろう。を使い蟻観察中のアルに襲い掛かる。
アルは体勢を変えずにヒラリとかわす。イライラした先輩は猛攻を続ける。やはり昇格を決めているだけあり、攻撃力もさることながら、素早かった。観衆はその先輩の実力に大歓声をあげた。
しかし、アルはそれをしゃがみ込んだ体勢のままで全てかわしきった。
相手にされていない事がわかった先輩は、
「おちょくるのもいい加減にしろ!」
と蟻を攻撃したのだ。
簡単に潰れてしまう蟻達。
その蟻達を見てアルはようやく立ち上がった。
そして先輩を見つめる。
「ようやく本気になったようだな。蟻如き・・・で・・・」
と先輩が話し終わる間も無くアルは先輩に
「命を粗末にしたらダメだ。反省!」
と言い、ジャンプをし先輩の頭を掴み、そのまま先輩の頭を地面に叩きつけたのだった。
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