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一章
最終試験(2)
しおりを挟む皆巨大ウサギや熊にはびっくりしたものの、こんな野外に来てお腹一杯食べられる事はないと寮の先輩がたから聴いていた為感謝していた。
その為、アルは獲物を捕まえてくる係に任命されたのだった。他の誰かが悲鳴をあげると、今まで怒られる事はあっても、褒められる事はなかった為嬉しくなった。
そこからアルは張り切って獲物を捕まえる事に力を入れるのだった。
その為、シカだのクマだのウサギだのの動物達は全部皆今まで見たこともない巨大サイズであった。
3日目の夜。もうすぐで目的の町に到着するだろうと言うところで今日も兵達は野宿をしていた。10人ずつで徹夜で警護をしていたのだが、おこちゃまアルは日付が変わる前に眠ってしまった。周りの者達は、寝かせておいた方が自分達に危険がないのでは?と話し合い、見てみぬふりをしていた。
そんな中アルは急にムクリと起き上がった。同じ夜番の者達は驚いたのだが、
「トイレ。」
とアルが言うので見送った。
その数分後夜番をしていたある者が何か来ていると言うのだ。
皆でそちらを見ると確かに暗闇の中でギラギラと輝く目が見えた。どうやら狼のようだ。
他の者達を起こそうかと思ったのだが、最近アルのおかげで?大きな動物を見すぎて、その動物であろうものが可愛く見えた。その為、たとえ魔物であったとしてもあれぐらいの小物であれば自分達だけで十分だろうと言うことになり戦うことにした。
しかし普通の動物でなく魔物だったようで相当な強さだった。皆頑張っていたのだが疲れが出てきたのだろう。1人の兵の反応が遅れ魔物に噛み付かれてしまったのだ。なんとかその仲間を助けようと頑張ったのだが中々離れない。焦りや不安で皆周りが見えなくなってきた時に、ドンッという音と共に噛まれて瀕死になっていた兵士は狼から解放された。
そう。狼の上にはアルがいたのだった。
アルは直ぐに瀕死の兵士に駆け寄る。生きはあるがどうすれば良いのかわからない。アルは森の生活を思い出し、こんな時は薬草を煎じて動物達にあげていたことを思い出す。そして、その薬草を今日丁度カストにあげていた為カストを起こしにいく。カストが何処にいるのかわからないアルは手当たり次第兵達を起こして回ったが、ようやくカストを見つける事ができた。
「カスト。今日渡した薬草持ってる?ちょっときて。」
とカストを引きずる勢いで引っ張り瀕死の兵の元へ連れて行く。カストは兵士の状況を見て察したらしく、薬草を服の中から取り出した。
アルはその中から必要な薬草を握り潰し、瀕死の兵の口の中へ突っ込もうとした。
カストはそっとそれを止め、「この薬草達を飲ませたらいいんだね?」と確認し、魔法ですり潰しその兵士に水に溶かした物を飲ませた。しばらくすると兵士の呼吸は整ってきて、眠ってしまったようだ。一命は取り止めた。
アルが兵士達を起こして回ったこともあるが、次の日には夜番の兵達が魔物に襲われた事は皆周知の事実であった。
のだが、朝明るくなって辺りを見回して見ると昨日の狼の死体が増えているのだ。それは合計30にものぼった。
周りの兵達は驚愕していたが、夜番のはずのアルが朝起きてきて、調理係に
「美味しいもの作って?」
と言っていたので、察しの良い兵達は何か感じとったようだが、決して誰も口に出して何も言わなかった。
昨晩の夜番の者達は、アルがもう少し早く助けにきて来れていれば誰も怪我をしなかったのにと思っていた者もいたが、朝のこの魔物の数を見て、そんなことを考えてしまった自分に恥、アルに直接お礼を言うものもいた。
そう。ここにいる者達は皆兵士。誰かを守る為に鍛錬していると言うのに、誰かに助けて欲しいなだとと弱音を吐いてしまったのだから・・・。
兵達は皆コレから本番だと言うのにこんなことではいけないと気合を入れ直したのだった。
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