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第11章「確かな憩い」
第11章「確かな憩い」その1
しおりを挟む「はい、ペンを置きなさい」
みんながペンを置く音が聞こえた。
たった今、期末試験の最終科目、世界史が終わった。
僕は昔あった王朝の名前を書けないまま、テスト用紙を回収した。
一番後ろの席は、その列のテスト用紙をすべて集めなければならない。
一回くらいならまぁ仕方がないと済ませるが、毎回となるとさすがに面倒くさい。
僕や平木がテスト用紙を回収している間、
みんなは楽しそうに放課後の予定を話している。
グランドから蝉の鳴き声が聞こえてくる。
冷房が入っているといえ、夏の風物詩を聞くと暑さを感じる。
体育祭、期末試験が終わり、七月の半ばとなっていた。
この二つのイベントにはなぜか大した思い出がなかった。
おそらくその前に体育祭以上のイベントが起きたからだろうな。
それに試験は、勉強できない者にとってはただの拷問でしかない。
「平木、試験はどうだった?」
席に戻った僕は担任の秋山先生が来るまでの間、
右隣の少女、平木と話すことにした。
「アケメネス朝ペルシアの最初の首都がスーサかペルセポリスかど忘れしたわ」
ダメだ、こいつのレベルにはついていけない。
アケメネス朝ペルシアという王朝は聞いたことはあるが、
その首都なんて世界史の教科書を見ても、
図の端っこにちょこんと書いているだけで文章中に示されていないんだ。
それに首都が移動しているのなんて、教科書に書いていなかったぞ。
便覧のコラムにでも載っていたのか?
しょげた心を会話で補おうとしたが、余計自信を失ってしまった。
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