落ち込み少女

淡女

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第10章「沈黙の祭り」

第10章「沈黙の祭り」その4

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僕は三組の教室には戻らず、委員会会議室まで行った。

会議中じゃなければ、いいんだけど。

窓が少し開いていたので、のぞき見すると、みんな机を囲んで話し合っている。

この状況で、割り込むのは緊張するなぁ。

ここに集まっているのは、各クラスの委員長なのだ。

委員長になれるのは、一軍しかいない。


奴らには、僕のようなどこにも所属できない三軍以下、

いわゆる無軍(※そんな語句はない)など、眼中にないし、視覚に入らないのだ。

まぁ、恥ならこの二カ月で散々味わってきた。

ここは、勇気を濡れたぼろぞうきんのように振り絞って、行こうか。

「すいません、一年三組の羽塚という者なんですが、西山さんはいますか?」

ドアを開けて、通常の声よりワントーン大きな声で言った。

みんな、びっくりしたようで、数秒間、固まっていた。

あれだけ言葉と言葉が飛び交っていた教室に静寂が訪れた。

それとは対称に、僕の心臓はますます動悸が激しくなっていくようだ。


「ああ、西山ね」

僕の一番近くで座っていた、おそらく上級生がようやく反応した。

「おい、西山、お前のクラスメイトみたいなのが、呼んでるぞ」

呼ばれて、西山が教室に出てきた。

「羽塚くん?」

やっぱり、学校で西山と一対一で会うのは緊張するな。

完璧美少女を呼びだしたあいつは何者だ?という嫌な視線が、

常に感じながら、話さなければならない。

今もドアを閉めたというのに、教室から視線を感じてしまう。


西山は自分の髪の毛先をいじくりながら、

「びっくりしたぁ。まさか会議の最中、羽塚くんに呼ばれるなんて。

どうしたの?」

少しだけかがみ、僕の顔をのぞきこむように優しい声で尋ねてきた。

……西山には貸しがある。

もちろん、悩み部屋じゃない、先週、僕は買い物に付き合ったことだ。


「なぁ、西山、頼みがあるんだけど?」

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