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第8章「私のレール」
第8章「私のレール」その14
しおりを挟む何とか課題だけ終わらせて、
何もしない日曜日が終わりかけている。
布団に入ったが、まぶたが自然に閉じることはなかった。
疲れていないのだろうか。
昨日は、あんなことがあったというのに。
時計針のカチッ、カチッ、という音だけが僕の頭をぐるんぐるんと回っている。
今日は隣家の猫の鳴き声は聞こえない。
下のテレビの音も聞こえない。
あぁ、暇だ。
いつ失うかわからない意識をじっと待っているのは、さすがに耐えられない。
「私は裏切ったんだ。大事な親友を」
僕の退屈な意識に、昨日の西山の言葉が浮かび上がった。
西山がその親友に一体なにをしたのか?
その親友はどこでなにをしているのか?
僕も気づいていないだけで、たくさんの人を裏切ってきたのだろうか?
それなら、今までそのことに気づかずに生きてこれたのだろう?
もしかしたら、僕は嫌な奴なのか?
ああやって、自覚している西山の方がいい奴なのかもしれない。
「ありがとう」
今度は昨日の平木の言葉が浮かび上がった。
あぁ、嫌だ。
早く寝るために、布団に被った。
自分の嫌なところをくるんで捨てられたらいいのにな。
気づけば、眠っていることに気づけないまま、僕は布団にくるまれていた。
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