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サプライズ
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「ほら、ジュディ」
「あ、は、はい」
ライアン殿下に手を引かれ、ダンスホールの高台へ連れて来られたジュディアンナ。
その様子を見て王妃は少し困ったように眉を顰める。
「もう、ライアンったら、いきなり連れて来られてはジュディが困るでしょ」
「はは、それは済まない。ジュディ」
「いいえ、大丈夫です」
急に高台に連れて来られた事には驚いたが、冷静さを保ち両手でドレスの裾を軽く掴み国王陛下と王妃様に深く頭を下げる。
「久しぶりね、ジュディ」
「はい、お久しゅう御座います。王妃様。本日お招き頂き、心より感謝致します」
「そう?でも、来てくれて嬉しいわ」
「はい、本日の御誕生祭心よりのお祝いを申し上げます。王妃様」
「もう、ジュディったら、いつもみたいに呼んでくれないの?」
「いえ、本日の主役は王妃様です、なので」
「ジュディ」
頭を下げていた私の頬に王妃様が手を添えそっと顔を上げさせる。
「今日は私の誕生日なんですから、私の好きな呼び方で呼んで頂戴?」
「ですが、」
「呼んで」
あ、この有無を言わせぬ強引さは、2人の王子に受け継がれていますね。
最も第2王子はかなり僻んでしまっていますが。
「はぁ、分かりました。リーナ叔母様」
「うふふ、ありがとう。来てくれて嬉しいわ、可愛いいジュディ」
王妃様、リーナ叔母様はそう言いながら私の頬にキスをする。
視界の端で、エリック殿下とグーデル嬢がポカンとした顔をしていたが、気づかないふりをしていよう。
「アンジェリーナ」
「あら、お兄様」
「仮にも国王王妃の身、少しは立場を弁えた方がいいのでは?」
呆れた風にお父様も高台に上がってきた。
「あら、久方ぶりに会えた可愛いい姪を愛でて何か問題でも?」
「全く・・・・国王陛下、我が妹がご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません」
「よく来てくれた、フェルナンド。なに、愛する妻の可愛いい我儘だ。気にする事はない」
「御心遣い感謝します」
「何を今更。我々の仲では無いか」
エンミリオン王国の国王陛下と王妃、そして第1王子と親しげに話すジュディアンナとマーシャル公爵。
その光景に周りが騒がしくなる。
実は私のお父様と国王陛下は学生時代からの旧友。そして現王妃様はお父様の妹君。
いくら王妃様との血縁関係があるとは言え、ここまで王族と親しくいれるのはマーシャル公爵家の力もあるだろう。
そんな事を考えていると、ライアン殿下がそっと私に顔を近づけ、こっそりと囁く。
「ジュディ、アイツもお待ちかねだぞ?」
「え?」
驚いてライアン殿下の顔を見ると、そこには悪戯を成功させた子供のような笑顔がそこにいた。
「静粛に」
国王陛下の低く威圧感のある声がダンスホール中に響いた。
その声に、騒ついていた招待客がシンと静まり返った。
「皆の者、本日は我が愛妻であるアンジェリーナの誕生祭を祝ってくれて、感謝する。今日この場を借り皆に報告したい事がある。ジュディアンナ」
「ッ、はい」
「ここに居る、我が妻の姪にして、フェルナンド・レオン・マーシャル公爵の娘、ジュディアンナ・ルナ・マーシャルの婚約をこの場に発表をする」
国王陛下の言葉に、
「はぁ!?父上、何を!?」
「嘘!?どう言う事!?」
エリック殿下とグーデル嬢が抗議しうようと声を上げたが、
「・・・・・・・・・」
「ッッ!!」
「ヒィ!!」
国王陛下の無言の圧力で二人を黙らせた。
何も発していない筈なのに、「黙っていろ」と言うオーラがこちらまで伝わって来ます。
「ジュディアンナ嬢の相手は隣国にして我が同盟国である、」
「え?」
「ギア帝国皇族第5皇子、ジン皇子である!!」
高台の袖脇のカーテンのから誰かが出てきた。
見覚えのある人物にジュディアンナは目を見開いた。
褐色色の肌に屈強な体格を包む紺碧色の詰め襟の正装と肩掛けの白いマント。
燃えるような赤毛の髪を一つに結っている。
彫りの深い丹精な顔立ちの右頬には大きな傷が一本入ってい。
睨み付けられれば誰もが萎縮してしまいそうな鷹のような鋭い金色の眼。
だが、その金色の眼は今はとても優しい眼差しをしていた。
「ジン、皇子?どうして?」
まさか、彼がこの場にいるとは思わず、困惑するジュディアンナにジン皇子は微笑みながら近づく。
「やっと、親父殿の許しが出たんだ。3年も待たせて済まない」
「え?本当、ですか?本当に?」
「ああ、やっとこれでジュディと一緒になれる」
「ジン様」
そう言いながらジン皇子は私の頬を手を当て、私はその手をそっと触る。
じんわりと伝わる彼の手の温かさと優しい眼差しに、ああ、これは本物なんだと思った。
その光景に会場がまた騒がしくなった。
「なんと!!マーシャル公爵家の御令嬢の婚約者がギア帝国の皇族とは!!」
「ギア帝国は我が国よりも広大な国土と軍事力を持つ大国。その皇族との婚約とは!!」
「それに、ジン皇子殿下と言えば、武術に置いて右に出る者がいないと言わる程の実力者。確か、つい最近、長年解決出来なかった北の武装民族の和睦協定を結ぶ事に成功させたとか」
「でも、ジン皇子殿下は確か女嫌いと言う噂がありませんでした?」
「ええ、数多の国の姫君の結婚の申し出を拒み続けていると聞いた事が」
「でも、見て、ジュディアンナ様を見るあの優しいお顔を」
「本当。それに淑女の鏡と云われたジュディアンナ様のあんな初々しいお顔も初めて見ましたわ」
騒めき、色んな意見が飛び交っているが、異議を唱える者は誰も居なかった。
「儂は、エンミリオン王国国王として、この縁を喜ばしく思う」
国王陛下の言葉に会場から惜しみ無い拍手が溢れる。
私とジン皇子は顔を見合わせ、笑い合い、会場に向かって深く頭を下げた。
「さあ、めでたいついでに、父上、もう一つ皆に報告したいことがあります」
拍手が収まってきたタイミングを見計らってライアン殿下が一歩前へ出てきた。
「そう言えば、そんな事を言っておったな。して、なんの報告だ?ライアン」
先程、サプライズがあると言っていたライアン殿下。
「はい。父上、母上、そしてジュディ」
その表情は、まるで悪戯のネタバラシをしたい子供のような笑顔だった。
「我が妻、ビオラが懐妊しました」
「何?」
「え?」
「・・・・・へ?」
ライアン殿下の言葉に国王陛下、リーナ叔母様、そして私も一瞬、固まってしまった。
だが、
「え?懐妊?ビオラが?それは、本当なのですか?ライアン!」
リーナ叔母様は声を弾ませ、ライアン殿下に問いかける。
「はい。最近、妻の体調が優れない様子で宮廷医師に診てもらった所間違い無いとのことです。ただ、妊娠の初期症状により体調が優れず、本日の誕生祭は欠席をさせてもらい、妻の代わりにお詫びします」
「いいのよ!いいのよ!でも、まあ、まあ、まあ!!!」
目を輝かせ、白い滑らかな頬を赤く染め、近くにいた私の手を取り、眩しいほどの笑顔を見せる。
「ジュディ!!孫よ!!私の孫!!」
「はい!!リーナ叔母様!!」
かく言う私も、驚きと興奮と嬉しさでリーナ叔母様の手を取り、互いに喜んでいた。
ライアン殿下の妻であるビオラは実は、ジン皇子と同じギア王国の伯爵令嬢だった人物。
ジュディアンナと同じギア帝国の帝立学院に在籍しており、入学当初、聡明で物怖じをしない明るい性格のビオラとジュディアンナはすぐに打ち解け、親友であり、学院内でも主席の座を競い合った好敵手でもあった。
だが、ただ一つ、ビオラには他の生徒とは違う点があった。
それは、両脚が不自由だと言う事だった。
「あ、は、はい」
ライアン殿下に手を引かれ、ダンスホールの高台へ連れて来られたジュディアンナ。
その様子を見て王妃は少し困ったように眉を顰める。
「もう、ライアンったら、いきなり連れて来られてはジュディが困るでしょ」
「はは、それは済まない。ジュディ」
「いいえ、大丈夫です」
急に高台に連れて来られた事には驚いたが、冷静さを保ち両手でドレスの裾を軽く掴み国王陛下と王妃様に深く頭を下げる。
「久しぶりね、ジュディ」
「はい、お久しゅう御座います。王妃様。本日お招き頂き、心より感謝致します」
「そう?でも、来てくれて嬉しいわ」
「はい、本日の御誕生祭心よりのお祝いを申し上げます。王妃様」
「もう、ジュディったら、いつもみたいに呼んでくれないの?」
「いえ、本日の主役は王妃様です、なので」
「ジュディ」
頭を下げていた私の頬に王妃様が手を添えそっと顔を上げさせる。
「今日は私の誕生日なんですから、私の好きな呼び方で呼んで頂戴?」
「ですが、」
「呼んで」
あ、この有無を言わせぬ強引さは、2人の王子に受け継がれていますね。
最も第2王子はかなり僻んでしまっていますが。
「はぁ、分かりました。リーナ叔母様」
「うふふ、ありがとう。来てくれて嬉しいわ、可愛いいジュディ」
王妃様、リーナ叔母様はそう言いながら私の頬にキスをする。
視界の端で、エリック殿下とグーデル嬢がポカンとした顔をしていたが、気づかないふりをしていよう。
「アンジェリーナ」
「あら、お兄様」
「仮にも国王王妃の身、少しは立場を弁えた方がいいのでは?」
呆れた風にお父様も高台に上がってきた。
「あら、久方ぶりに会えた可愛いい姪を愛でて何か問題でも?」
「全く・・・・国王陛下、我が妹がご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません」
「よく来てくれた、フェルナンド。なに、愛する妻の可愛いい我儘だ。気にする事はない」
「御心遣い感謝します」
「何を今更。我々の仲では無いか」
エンミリオン王国の国王陛下と王妃、そして第1王子と親しげに話すジュディアンナとマーシャル公爵。
その光景に周りが騒がしくなる。
実は私のお父様と国王陛下は学生時代からの旧友。そして現王妃様はお父様の妹君。
いくら王妃様との血縁関係があるとは言え、ここまで王族と親しくいれるのはマーシャル公爵家の力もあるだろう。
そんな事を考えていると、ライアン殿下がそっと私に顔を近づけ、こっそりと囁く。
「ジュディ、アイツもお待ちかねだぞ?」
「え?」
驚いてライアン殿下の顔を見ると、そこには悪戯を成功させた子供のような笑顔がそこにいた。
「静粛に」
国王陛下の低く威圧感のある声がダンスホール中に響いた。
その声に、騒ついていた招待客がシンと静まり返った。
「皆の者、本日は我が愛妻であるアンジェリーナの誕生祭を祝ってくれて、感謝する。今日この場を借り皆に報告したい事がある。ジュディアンナ」
「ッ、はい」
「ここに居る、我が妻の姪にして、フェルナンド・レオン・マーシャル公爵の娘、ジュディアンナ・ルナ・マーシャルの婚約をこの場に発表をする」
国王陛下の言葉に、
「はぁ!?父上、何を!?」
「嘘!?どう言う事!?」
エリック殿下とグーデル嬢が抗議しうようと声を上げたが、
「・・・・・・・・・」
「ッッ!!」
「ヒィ!!」
国王陛下の無言の圧力で二人を黙らせた。
何も発していない筈なのに、「黙っていろ」と言うオーラがこちらまで伝わって来ます。
「ジュディアンナ嬢の相手は隣国にして我が同盟国である、」
「え?」
「ギア帝国皇族第5皇子、ジン皇子である!!」
高台の袖脇のカーテンのから誰かが出てきた。
見覚えのある人物にジュディアンナは目を見開いた。
褐色色の肌に屈強な体格を包む紺碧色の詰め襟の正装と肩掛けの白いマント。
燃えるような赤毛の髪を一つに結っている。
彫りの深い丹精な顔立ちの右頬には大きな傷が一本入ってい。
睨み付けられれば誰もが萎縮してしまいそうな鷹のような鋭い金色の眼。
だが、その金色の眼は今はとても優しい眼差しをしていた。
「ジン、皇子?どうして?」
まさか、彼がこの場にいるとは思わず、困惑するジュディアンナにジン皇子は微笑みながら近づく。
「やっと、親父殿の許しが出たんだ。3年も待たせて済まない」
「え?本当、ですか?本当に?」
「ああ、やっとこれでジュディと一緒になれる」
「ジン様」
そう言いながらジン皇子は私の頬を手を当て、私はその手をそっと触る。
じんわりと伝わる彼の手の温かさと優しい眼差しに、ああ、これは本物なんだと思った。
その光景に会場がまた騒がしくなった。
「なんと!!マーシャル公爵家の御令嬢の婚約者がギア帝国の皇族とは!!」
「ギア帝国は我が国よりも広大な国土と軍事力を持つ大国。その皇族との婚約とは!!」
「それに、ジン皇子殿下と言えば、武術に置いて右に出る者がいないと言わる程の実力者。確か、つい最近、長年解決出来なかった北の武装民族の和睦協定を結ぶ事に成功させたとか」
「でも、ジン皇子殿下は確か女嫌いと言う噂がありませんでした?」
「ええ、数多の国の姫君の結婚の申し出を拒み続けていると聞いた事が」
「でも、見て、ジュディアンナ様を見るあの優しいお顔を」
「本当。それに淑女の鏡と云われたジュディアンナ様のあんな初々しいお顔も初めて見ましたわ」
騒めき、色んな意見が飛び交っているが、異議を唱える者は誰も居なかった。
「儂は、エンミリオン王国国王として、この縁を喜ばしく思う」
国王陛下の言葉に会場から惜しみ無い拍手が溢れる。
私とジン皇子は顔を見合わせ、笑い合い、会場に向かって深く頭を下げた。
「さあ、めでたいついでに、父上、もう一つ皆に報告したいことがあります」
拍手が収まってきたタイミングを見計らってライアン殿下が一歩前へ出てきた。
「そう言えば、そんな事を言っておったな。して、なんの報告だ?ライアン」
先程、サプライズがあると言っていたライアン殿下。
「はい。父上、母上、そしてジュディ」
その表情は、まるで悪戯のネタバラシをしたい子供のような笑顔だった。
「我が妻、ビオラが懐妊しました」
「何?」
「え?」
「・・・・・へ?」
ライアン殿下の言葉に国王陛下、リーナ叔母様、そして私も一瞬、固まってしまった。
だが、
「え?懐妊?ビオラが?それは、本当なのですか?ライアン!」
リーナ叔母様は声を弾ませ、ライアン殿下に問いかける。
「はい。最近、妻の体調が優れない様子で宮廷医師に診てもらった所間違い無いとのことです。ただ、妊娠の初期症状により体調が優れず、本日の誕生祭は欠席をさせてもらい、妻の代わりにお詫びします」
「いいのよ!いいのよ!でも、まあ、まあ、まあ!!!」
目を輝かせ、白い滑らかな頬を赤く染め、近くにいた私の手を取り、眩しいほどの笑顔を見せる。
「ジュディ!!孫よ!!私の孫!!」
「はい!!リーナ叔母様!!」
かく言う私も、驚きと興奮と嬉しさでリーナ叔母様の手を取り、互いに喜んでいた。
ライアン殿下の妻であるビオラは実は、ジン皇子と同じギア王国の伯爵令嬢だった人物。
ジュディアンナと同じギア帝国の帝立学院に在籍しており、入学当初、聡明で物怖じをしない明るい性格のビオラとジュディアンナはすぐに打ち解け、親友であり、学院内でも主席の座を競い合った好敵手でもあった。
だが、ただ一つ、ビオラには他の生徒とは違う点があった。
それは、両脚が不自由だと言う事だった。
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