三ツ石真砂の祝言

旗本三千石次男三ツ石真砂が、父三左から、格下の五百石御家人北町奉行所同心浜野善兵衛の一人娘しのに、養子の話があると聞いた時、十九歳の真砂に直観が走った

善兵衛の八丁堀組屋敷に行き、瓜実顔色白で清楚なしのが茶を勧め、顔を上げ真砂を見やった時、
ー同心を継ぎ、添い遂げるのはこのしのだー
と確信した。
人には時としてそのような感覚があるものだ。
それから約四十数年同心として天分の気質を磨き上げる浜野真砂である。
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